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少年と女神の物語
第九十四話
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は地面に吸い込まれていくのを感じた。
 おいおい・・・何で草薙の剣もないのに、俺を引きずりこめるんだよ・・・

『主、その神はそちらの娘と、』
『オレたちを目印にしている。中々に器用なようだな』

 そんなことまでできるのかよ・・・
 そして、俺は幽界に落ちた。



◇◆◇◆◇



「はぁ・・・なあ、ブリューナク。お前の力で脱出したらどうなると思う?」
『間違いなく、再び引き込まれるであろうな。そのために労力を費やすつもりはない』
「だよなぁ・・・ゲイ・ボルグは何か案ない?」
『相手は最源流の鋼にしてトリックスター。主の権能で脱出するのは難しいかと』

 さて、現在相談できる相手は誰も大した情報を持っていないわけだ。
 となると・・・さっさと終わらせるのが一番か。
 そう考えて見つけた家のようなところに向かい・・・入口を蹴り開ける。

「オイオイ・・・乱暴じゃねえか、神殺し」
「うるせえ。こっちは早いとこ妹を助けに行きたいところを邪魔されて腹が立ってるんだ。さっさと用件を終わらせろ」

 両手にゲイ・ボルグとブリューナクを持ったまま、俺はそう言った。

「まあ、座れや。何、そんなに長くはならねえよ」

 そう言いながら酒を飲んでいるスサノオの前に座り、さっさと話せと視線で言う。

「さて、どうにも急いでるみてえだし、手短にいくか。お前さん、今からまつろわぬ神と戦うんだろ?」
「ああ、そうだ。それが?」
「その神について、少しばかり話をな」

 あー・・・ま、聞いといて損はないな。

「正体は教えられないが、アイツはオレ何かと同じ最源流の鋼だ。気をつけた方がいいぜ?」
「そんなことのために呼び出したのか。そうかそうか。よし、死ね」
「まあ待てよ。話があるんだ」

 俺は再び座り、話を待つ。

「アイツは草薙の剣を持ってる。あれは放っておくともう一振りに影響しかねないからな。沈んだままならよかったんだが、わざわざ持ち出してきやがった」
「へぇ・・・つまり、相手は草薙の剣を使ってるのか」
「そういうこった。んで、こっちから頼みたいのはそれを壊してほしいってところだな」

 まあ、それについてはなんとなく分かった。
 それで終わりか?

「あー・・・まあ、それともう一つ」
「まだあるのか?」
「これで最後だ、安心しろよ。・・・オレの家族のこと、頼むぜ」

 聞き返そうとした瞬間、俺は元の世界に投げ出された。



◇◆◇◆◇



 さて、どうなることか・・・アイツは、オレより(・・・・)源流に近い、最源流の鋼。
 楽に勝てる相手じゃないぜ?

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