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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
23.囚人の狙い
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獄結界をこじ開けてくれたことに、まずは礼を言っておこう」
最初に口を開いたのは、シルクハットの紳士だった。年齢は四十代ほど。がっしりとした体型に対して、服装からは知性的穏やかさが伺える。
「汝たち七人だけか……ほかはどうした?」
「どうした、じゃねー! こいつだ、こいつ!」
ドレッドヘアの小柄な男が声を荒げる。
派手な色使いの重ね着に、腰履きのジーンズ。ストリートファッションのような格好をしている、彩斗たちと年齢がさほど変わらぬであろう少年だ。
だが、そんな彼も監獄結界に閉じ込められていた犯罪者の一人だ。彼は左腕に鉛色のくすんだ金属製の手枷を嵌められている。
「見ろ!」
ドレッドヘアの若者が右腕を一閃。
その直後、若者の前にいた紳士の身体から鮮血が飛び散った。
「シュトラ・D、貴様──!」
紳士が吐血しながら憎悪の眼差しをドレッドヘアに向ける。
服装から察するに魔導師のような紳士。監獄結界に閉じ込められるほどの実力を持った紳士の防御壁を軽々しく砕いたのだ。
そのときだった。鉛色の手枷から、無数の鎖が出現する。それは、瀕死のダメージを受けた紳士を虚空へと引きずりこんだ。
シルクハットの紳士の絶叫し、虚空へと呑み込まれていく。
「……なるほどな。監獄結界のシステムはまだ生きている、ということ……か」
仙都木阿夜が、平静な声で呟いた。
「魔力や体力の弱ったやつは、こうして結界内に再び連れ戻されるってわけだ。わかったかよ。もっと脆ェ連中は、ハナから外に出ることもできねェんだけどよ」
シュトラ・Dと呼ばれていたドレッドヘアの若者が、犬歯を剥き出して言う。
「……“空隙の魔女”を殺して監獄結界が消滅するまで、ワタシたちは完全に自由にはなれないみたいなの。ふふ……おわかりになったら、さっさとあの女の居場所を教えてくださる? 同じ魔女として、心当たりのひとつやふたつあるんでしょう?」
ドレッドヘアの言葉を継いだのは、菫色の髪の若い女だった。
美人というよりは、その雰囲気からは色気が感じられる。長いコートの下の衣装は異様に露出度が高い。
仙都木阿夜は彼女の殺気を平然と受け流し、首を振る。
「悪いが、知らんな。あの女を殺したければ、せいぜい自分で探すことだ」
「そーかよ。面白ェじゃねーか……“
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さんよ。だったらあんたにも、もう用はねェなあ」
シュトラ・Dは、右腕を振り上げて阿夜を睨む。彼は利用価値のない人間は全て敵と判断するようだ。
阿夜は気怠そうに長い袖に包まれた左腕から一冊の古びた本を掲げてみせた。
「逸るな、山猿……南宮那月の居場所は知らんが、手を貸さないとは言ってい
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