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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
23.囚人の狙い
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仙都木阿夜が左手を上げた。その瞬間、みしっ、と耳障りな音が響き、優麻が声にならない絶叫を上げた。目には見えない巨大な腕が、のけぞる優麻の背中から、ぶちぶちとなにかを引き剥がしていく。
「いやああああああああああっ!」
切断された霊力径路から、そこを流れていた魔力が鮮血のように噴き出した。
優麻の“守護者”が阿夜の元へと向かっていく。阿夜は優麻の“守護者”を引きちぎろうとしているのだ。
阿夜の元へと向かう優麻の“守護者”を何者かの腕が掴み食い止める。
「待て……よ……クソ……野郎……」
か細い声が響いた。
優麻の“守護者”を食い止めたのは、先ほどまでの倒れていた彩斗だった。
彩斗の身体も相当ボロボロのはずなのに“守護者”の腕を掴んでいる。それでも、優麻の“守護者”は阿夜の元へと向かおうとする。
その状態で彩斗は掴んだ“守護者”の腕を力任せに引きちぎった。
優麻の“守護者”の蒼い鎧は、完全に黒く染まった。
鎖から解き放たれた獣のように、咆哮する黒騎士。阿夜の背後へと移動した。仙都木阿夜は、優麻の“守護者”を完全に奪い取ったのだ。
「ユウマっ!」
優麻の身体は壊れた
人形
(
マリオネット
)
のように身体が地面に転がる。ぐったり倒れこんだ彼女を抱きかかえ、古城は呆然と息を呑む。
彩斗は倒れこむ優麻へと近づいて先ほど引きちぎった“守護者”の一部を優麻へと返しているようだ。
「なんて……ことを……!」
雪菜が怒気をあらわに槍を構えた。
「ほんと……最低だね……」
友妃の刀と雪菜の槍の銀が仙都木阿夜に向けられる。
「第四真祖に、
神意の暁
(
オリスブラッド
)
、獅子王機関の剣巫、剣帝か……いったいなにを憤っている? その娘は我が作った人形……だ。どう扱おうが我が自由であろう?」
仙都木阿夜は、本気で訝しむような表情を浮かべる。
「……ざけんな……っ」
古城が、低く潰れたような声を絞り出す。
「……テメェ……だけは……」
その声とともに二つの魔力が噴き出された。その魔力は第四真祖と“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣の魔力だ。
「俺の
友達
(
ダチ
)
をこんな目に遭わせておいて、言いたいことはそれだけか……!」
「潰される覚悟はあんだろうな……っ!」
「……っ!」
爆風にも似た古城と彩斗の魔力を浴びて、仙都木阿夜が眉を動かした。平静を装う彼女にとっても、やはり第四真祖と“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の魔力は脅威なのだ。
だが、古城の身体には、“雪霞狼”のダメージが残っているせいで激しく咳き込み吐血する。
「先輩!?」
「古城君!?」
苦痛にうめく古城に気がついて、雪菜の顔が青ざめ
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