暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
23.囚人の狙い
[2/10]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
二人とも、あたしをほっといて自分たちだけどこか行っちゃうなんてね」
軽く頬を膨らませて怒る唯。
唯の話を聞く限り、彩斗もいつの間にか居なくなっており、美鈴も家には帰っていないようなだ。
久しぶりに家族が来ているのに家に帰らなかった彩斗。突然、管理公社に入って来てプログラムを書き換えていつの間にか消えていた美鈴。
この二人は似たもの家族なのだろうか。
だが、彩斗は家族をほってどこかに行くような人間ではない。黒死皇派に捕まった浅葱を危険を顧みずに助けてくれたのだ。結局、彼にはそのことを今だお礼はできていない。
「ところで浅葱さん。その娘だれですか?」
「は? その娘……?」
突然スカートの裾を引かれて、浅葱は自分の足元に視線を向けた。目を丸くする。
四、五歳だろうか。西洋人形のようなドレスを着た、長い髪の幼女。
幼女はぎゅっと浅葱の腕にしがみついて、潤んだ瞳で見上げ、弱々しい声で言う。
「……ママ!」
その言葉に周囲の雑音が一瞬消えたように感じた。
「え!? ……ま、ママ!?」
唯も激しく動揺している。
「えええええぇっ!?」
浅葱の悲鳴が混雑する駅構内に?まれていった。
壊れていく。
聖堂が徐々に壊れていく。
そのまま膨大な質量に押し潰されれば確実に命を落としていた。そんな友妃たちを救ったのは、目眩にも似た奇妙な浮遊感だった。
誰かが空間を歪めて、崩落する聖堂の外へと友妃たちを運び出したのだった。
「ぐっ……」
聖堂からさほど離れた場所ではない。かろうじて聖堂の崩壊から逃げられる距離に転移したようだ。
「優麻さんっ……!?」
雪菜が短く悲鳴を上げた。
そこには、ハロウィンの魔女の仮装をした少女だ。ボーイッシュと呼ぶには可憐すぎる、顔立ちの少女である。
しかし彼女の全身は血まみれだ。
胸元には深い刀傷が刻まれている。
彼女を庇うように倒れこむ少年。
苦痛にうめく彼女──仙都木優麻と同じく傷だらけの少年──緒河彩斗に駆け寄る友妃と古城。
優麻は友妃たちを逃がすために空間転移をしたのだ。
だが、それは肉体に多大な負荷をかけたはずだ。
直前までの戦いで、彼女はもはや限界なのだ。
「違うよ、古城……ボク一人の力じゃない。“空隙の魔女”と彩斗が手を貸してくれた……」
「那月ちゃんと彩斗が? だったら、那月ちゃんは……どこに……!?」
優麻の言葉に友妃は呆然としてしまう。
南宮那月も緒河彩斗も“守護者”の剣に貫かれて、優麻以上にダメージを負ったはずだ。その状態で優麻に力を貸して、友妃たちを助けたというのか。
しかし、ここのどこにも彼女の姿はない。
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ