31話
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月姫の主人公も、空の境界の着物にジャケットを着る女もそうだった。
彼らはより確実に線や点をつくためにナイフを使っていた。
俺も実際にあの時、戦った時の感覚としてもナイフ系の方が合っていると思う。
しかし、やはり近づくのは怖い。
これに尽きる。
あんな得たいの知れない物に自ら近づくなんて俺にはできない。
このままでは真田先輩に勧められたグローブで行く羽目になってしまう。
それだけは避けたい。
「彩く〜ん♪」
思考が遮られる。
どうも最近は考え事をしてばかりだ。
いや考えなければいけないことが多い、と取るべきだろうか。
「先輩、どうしたんです?」
「えへへ〜♪」
どうもこの先輩キャラが安定していない。
最近は馬鹿キャラのような気がする。
「おうおう、イチャついちゃって」
横から伊織が憎憎しげに言ってくる。
「別に俺はそんなつもりないんだけどな」
俺はいつもと同じセリフを言う。
先輩と恋仲などと誤解されることだけは避けたい。
しかし、俺のこの行動はどうも周りに軽いとか、女誑しなどと思われてしまっているようだ。
女誑しは認めよう。
が、しかしだ。
相手がこの先輩というのだけは認めない。
認めたくない。
「彩君〜」
俺の席の前の席に座って俺の顔ばかり眺めてくる。
「先輩。あんまり時間ないんですからわざわざここに来なくても・・・」
今は3時間目と4時間目の間の休憩時間だ。
次の時間の準備や、前の授業が長引いたりなどと考えれば5分程度しかないこの時間に先輩はわざわざやってくる。
正直勘弁して欲しい。
「いいの、いいの」
何がいいんだよ。
「今日も一緒に帰ろうねぇ〜」
ニコニコと笑う先輩。
「あ、今日はちょっと約束があるので無理です」
今日は長谷川さんと帰るんだぁぁ!
「ぇ・・・」
呆然と固まる先輩。
まぁ、そういう反応をすることはわかっていた。
「誰!?誰と帰るの!?」
ガクガクと先輩は俺の肩を激しく揺さぶる。
「と、友達です」
揺れる視界の中に辛うじて先輩を捉えながら言う。
「女!?女なの!?」
えぇ!もちろんです!
なんて口が裂けてもこの人の前では言えない。
「ちょ、先輩っ」
俺の肩を痛いくらいに掴んでいる先輩の手を引き剥がそうとしながら俺は言う。
「私は遊びだったの!?」
いやいや何浮気について言及する恋人みたいな風に言ってるんだよ。
「そ、そもそもっ、先輩と俺はそういう関係じゃないじゃないですか」
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