召喚者-ティファニア-part1/半妖精の召喚の儀
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あるが…ここではまだ割愛させておこう。
しかもここに収入源といえるものはなく、働こうにも貴族じゃない人間が子供たちを何人も養えるお金を稼げない。だからフーケは、盗賊稼業に勤しんでいたのだ。
かつてフーケは、今は取り潰しとなったこの領地の前領主の娘であった。当時の名前は『マチルダ・オブ・サウスゴータ』。だからティファニアやシュウから『マチルダ』と呼ばれている。
「なあ、テファ」
「なぁに、姉さん?」
名前を呼ばれ、ティファニア…テファは首を傾げる。
「あいつ…シュウのことなんだけど、ちょっかいとか出されなかったかい?」
「ちょっかいって?」
「あ〜いや、なんでもないよ。その様子だと何もされてないみたいだね」
「?」
何を言いたかったのだろうとキョトンとするテファ。彼女は世間に出たことがないので、見てくれ通りの天然…というよりも純粋すぎる少女だった。美貌・スタイルよしな身で、こんな子が悪い男に引っかかったりしたら大変だ。だからマチルダは彼女が、シュウから何かよからぬことをされていないか心配もしていたのだ。
「そういえば、あいつは?」
シュウの姿を、この日のマチルダはまだ見かけていない。
「シュウなら、何か買い物に出かけるって言ってそのまま行っちゃったわ。つい一週間前の昼にしばらく必要な分を買いに行かせたのに…」
「い、いないのかい!?」
思わず声を上げたマチルダ。その迫力にテファはひう!と悲鳴を上げた。妹分をびっくりさせてしまったことに気づいたマチルダは深呼吸して己を落ち着かせる。
「ごめん…ちと興奮したみたいだ。けど…」
なんで勝手に買い物に?それもまだ間もない期間で?この村には無駄使いができるだけの金はないし、自分だって生活を最低限支えられる分しか稼ぎ切れていない。何せ多人数の子供たちを養うのにどれだけの金がかかると言うのだ。それを、あのシュウが知らないはずがない。
…いや、待てよ。
先日、破壊の杖を手に入れようとした自分が怪獣に襲われた。その時あいつは颯爽と現れて、しかもウルトラマンに変身して自分の窮地を救った。こんなのは決して偶然では起こりえない。あいつにはなるべく常時はこの村に留まるように言っていたはずなのだから。なのに買い物に?それはない。
(…どっかで戦ってるってことか)
恐らく自分の危機にちょうどいいタイミングで来られたのはあいつが持つウルトラマンの力の一端。シュウ自身もそれを認めたし、そうでなければあんな都合のいいタイミングで助けに来ることができるはずもない。
しかし、疑問に思う。あいつはいつあの力を手に入れた?そしてどうして、あんな化け物たちと戦うのか?
ふと、マチルダは彼が…黒崎修という男がこの村にやってきたその日のことを思い出す。
何か月前のことだろうか。その
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