召喚者-ティファニア-part1/半妖精の召喚の儀
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ルイズは驚いて目を見開いた。そこにいたのは子爵ではなくなっていた。
自分の使い魔である黒髪の少年、サイトだった。いつの間にか自分の姿も16歳の姿に戻っていた。
「な、なんで!?」
「なんでって…お前は俺が好きなんだろ?俺もなんだ。ルイズ」
「ば、馬鹿言ってんじゃないわよ!!」
急にこの犬は何を言い出すんだ。怒りか、それともこんな歯を浮くセリフを言われて照れたのか、ルイズの顔が赤みがさす。
「約束するよ、ルイズ。俺が君を守るよ。どんな奴にも手を出させない」
優しく自分の頬に触れるサイトに、ルイズはついに動けなくなってしまう。いつもならすぐに鞭を振って罰を与えてくれようかと思っていたのに、どうして体が動かないのだ?いや、違う。これは緊張だ。ルイズが内心強く望んでいた言葉だった。それが彼女から自由を奪っていく。
サイトがだんだんと近づいて自分を押し倒そうとのしかかってくる。自分の唇を奪い取ろうとしている。
―――――だ、だめ!
ルイズはこの時不思議なくらい素早く動けた。自分を押し倒してきているサイトを、両手で押し戻し、恥ずかしさのあまりサイトから逃げ出そうと走り出す。だがルイズは忘れていた、ここは池の水面に浮かぶ小舟だということに。夢の中とはいえ、現実では当然のごとく彼女は足を踏み外して池にボチャン!と落ちてしまった。
「ひゃう!!?」
が、冷たさを感じなかった。落ちた途端にずぶ濡れになるだろうと思っていたのに、水の感触がまったくない。どうしてだろう。顔を上げると、そこは自分の屋敷の庭ではなくなっていた。
ルイズは、どこかの建物の中に居た。
その様式は、ハルケギニアでは決して見ることがないであろう作りだった。そして、相手を素直に評価しないルイズさえ素直に評価させるほど立派で美しいと感動を促した。
どこかの、塔のようだ。最下層へ深々と吹き抜けが存在し、落ちたら一巻の終わりと見て取れるほどの高さのようだ。それにしても、ここは眩しい。まるですぐ近くに太陽があるような明るさだ。
ふと、ルイズの前を誰かが横切った。ルイズは自然とその人影を目で追うと、その人影はまっすぐ光の先へと歩いていた。光はとても眩しかったが、同時に綺麗な輝きを放っていた。どんな宝石でも敵いそうにないほどの美しい光。吹き抜けの上に掛けられた足場を歩き、その人影は光へ手を伸ばしていく。
「待て!」
が、ここでその人影の横から、別の誰かが彼の手を掴む。赤々とした体を持つ、赤いマントを羽織った人影。その手を振り払った反動で、光を掴もうとした人影は、横から現れたもう一つの人影に向かって叫ぶ。
「邪魔をするな!」
「その光に近づくな!お前には、まだ早すぎる!」
「舐めるなよ…俺はこの力を使いこなして見せる!!」
立ち
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