GGO編
八十三話 お菓子な依頼人
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…」
視覚、聴覚、触覚、味覚と嗅覚。色々と考えては見た者の、矢張りどれも確実に心臓を止めるに至るであろうとは言い難かった。
「ま、議論はこれくらいで良いだろ。結論──ゲーム内からの銃撃でリアルの心臓を止めることは不可能。今回の二件は偶然の一致って事で。はい終了。ごちそうさま」
和人がそう言って席を立つ。磨ぁ正直なところこのまま居ると面倒事に巻き込まれそうな気がしたので、涼人食べ終えたケーキの皿を残して(途中菊岡に一口分けてくれないかと何度も言われたが、全て突っぱねた)立ちあがろうとする。と、菊岡が二人を引きとめた。
「わぁ、待った待った!!ここからが本題の本題なんだって!」
「断る」
「早っ!?まだ何も言ってないんだけど!?」
「アンタの言いたいことなんざ大体分かる」
涼人は最大限に、菊岡に冷たい視線を送る
「死銃と接触……つーか、撃たれて来いとか言いだすんだろ」
「あ、あははは……お見通しだねぇ」
苦笑しながら言う菊岡に、和人と涼人の冷たい視線が刺さる。
「やなこった。俺だってまだ命は惜しい」
「右に同じ。俺も屋だね。行くならアンタが行ってくりゃいいだろ。んで撃たれろ。心臓トマレ」
────
「はぁ……」
「ま、しょうがないかな……」
ああ言った数分後、結局安全保障や約三十万円の報酬などを条件に、涼人達は条件を飲んでしまった、なんとも菊岡に載せられたようで悔しいが、「この件によって再びVR世界がSAO時代のように法規制の方向へと動きかねない」等と言われては、仕方がない。
溜息をついた涼人に、和人が苦笑する。
「えっと……それじゃ俺……」
「あぁ。これからデートだったな。行って来い少年。わざわざ皇居に場所変えたんだろ?」
「あ、あぁ……ってなんで知ってんだよ」
「ユイから聞いた」
二ヤリと笑った涼人に、和人が顔をしかめる。しかし直に頭を掻いて苦笑すると、涼人が向かう駐車場とは逆方向に歩きだす。
「それじゃ、行って来る」
「おう。楽しんで来い。遅くなるなら連絡しろよ〜」
「あぁ!」
小走りで駆けて行く和人を微笑みながら見送って、涼人は駐車場に止めてある軽自動車へと向かった。電気自動車が当たり前の今のご時世で、涼人が乗るのは昔ながらのガソリン自動車だ。免許取って直にエギルから譲り受けたものなのだが、何やらマニアが乗って居た物らしく、中古ながらかなり性能のいいカスタム物である。
電子式のロックを開け、車に乗り込むと、涼人は携帯端末を取り出す。
呼び出した先の主は直にいつもの調子で返してきた。
「よぉ、“鼠”さっきはどうも」
十二月、七日の事である。
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