GGO編
八十三話 お菓子な依頼人
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部屋には有らされた形跡はなく、遺体はベットの上で横になった状態で発見された。頭には……」
「アミュスフィア……か?」
涼人、和人、直葉。桐ケ谷家にも三台存在する二重リングの機会を思い浮かべながら和人が言うと、菊岡は小さく頷く。
「うん。直ぐに家族に連絡が行って、遺体は司法解剖された。死因は急性心不全」
「心不全……の原因は?」
「分からない」
「あん?」
涼人の訝しげな声に、菊岡が返す。
「死後五日半が経って居てね。犯罪性も薄かったから厳密な司法解剖も行われなかったんだ。ただ、彼はほぼ二日も何も食べずにログインしっぱなしだったらしい」
「良くある話だな」
そう言って、涼人は再び食事に戻る。
その手の話は珍しくなく、VRでは特にそれが顕著だ。栄養云々はともかく、VR世界で飯を食うと仮想の満腹感が胃を満たしてくれるため、基本的にはリアルでの空腹と言う感覚もかなり紛らわすことが出来る。そのため、飯大は浮く上にプレイ時間は増やせると言う事で、食事なしのダイブと言うのは案外珍しくもない。勿論、体には悪影響が有るのは確かだ。何時の間にか栄養失調。後に心臓発作など、ザラだ。
そう思い、菊岡とキリトが話すのを聞きながら涼人はまたケーキをぱくつき始める。しかし……菊岡の台詞を聞いて少しだけ手を止める。
茂村氏のアミュスフィアにインストールされていたソフト。ガンゲイル・オンラインに置いて、彼がトッププレイヤーだったと言うのだ。
「ん?そいつもしかして、《ゼクシード》か?」
「あれリョウ君知ってるの?」
「いや、知ってるっつーか、こないだMストみてた時に行き成りログアウトしたんだよな。そのGGOのトッププレイヤー」
Mストと言うのは、MMOストリームの略で、VRMMOのゲーム内でのあらゆる話題のプレイヤーを招いてのバラエティを始め、ニュースそのほか情報発信を行っている、ネット放送局のことである。
「あぁ、うん。それだね。出演中に心臓発作を起こしたみたいだよ?」
「成程……っておい、菊っち。もしかしてさっき言ってたVRからの物理的影響って、どっかの酒場での事言ってんのか?」
涼人の発言に、菊岡が驚いたように眼鏡をきらりと光らせた。
「あれ、リョウ君そこまで知ってるの?」
「いや知ってるっつーか、いや、ちょい待ち……メール良いか?」
「どうぞ」
言うと、涼人は携帯端末を凄まじいスピードで操作し始めた。一応言っておくと、涼人のデフォである。しばらくすると、涼人の携帯端末でメールの着信音が鳴った。
「成程……そう言うことね」
「おや?なんか僕の説明の役目、取られちゃったのかな?」
「な、何だよ兄貴、俺にも分かるように説明してくれって」
「ん……なぁ、カズ」
「仮想世界で銃で撃たれたら、死ぬと思うか?
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