GGO編
八十三話 お菓子な依頼人
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東京都中央区、銀座四丁目。
日本最大の繁華街で有るこの街は、基本的に富裕層の街というイメージが強い。デパートや、そこら辺に並ぶ宝石店やらスーツやらの店が、ことごとく馬鹿だかい値段を示しているのがその証拠だろう。
さて、そんな中でも此処、銀座四丁目は、実は東京で最も……ひいては、日本で一番地価が高い。
2025年現在でもマダムやムッシュがそこら辺を歩く、いかにも若者たる彼等とは少々不釣り合いなこの街に、涼人と和人は有る人物に呼び出されて足を運んだ。
普段ならば絶対に縁もないであろうシックな雰囲気の高級そうな喫茶店の扉をキリトが押しあけると、黒服に蝶ネクタイと言ったいでたちの羽ウェイターが恭しく頭を下げる。
「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
「あ、いえ。待ち合わせです」
答えつつキリトは先方を探そうと辺りを見回す。しかし、その必要はなかった。
「おーい!二人ともこっちこっち!!」
『……はぁ……』
どう考えてもこの手の高級感のある店ではマナー違反な大声が涼人達の耳に届く。発したのは奥に座るスーツ姿の男。誠に遺憾ながら涼人達を呼びだした張本人だ。
勘弁してくれと言いたくなりつつ、和人がウェイターにその彼奴だと伝え、涼人達は席へと向かう。買い物帰りらしきマダム達の非難の目線を浴びながら。
「よぉ、菊っち、息災かぁ?」
「ハハハ。ま、あり余る程度には元気だね」
言いながら座る涼人と不機嫌そうな和人に笑顔を向けるこの男は菊岡誠二郎。黒ぶち眼鏡にしゃれっ気の無い髪形。線細い顔立ちをした、少々生真面目そうな顔の男だが、これでも国家公務員である。しかも官僚、キャリア組だと言うから驚きだ。
腰を下ろした二人の前に、即座にウェイターがお冷とおしぼりを差し出す。なんとも気配りのきいたことに、おしぼりからかんきつ系のさわやかな香りがする……。しかも差し出されたメニューは本革張りだ。
『金掛ける場所おかしいんじゃねぇの……?』
実を言うと地方育ちな涼人はそう感じたが、まぁ今はどうでも良い。
「此処は僕が持つから、何でも好きな物頼んでよ」
「……良いんだな?」
「おや?遠慮かい?勿論だよ。男に二言はない」
和人が神妙な顔で聞き返しつつメニューを見るそれに対し菊岡は首をかしげながらそう返答したが、彼は気が付かなかった。和人の視線の先に居たのが彼では無く、目を輝かせた涼人であった事に……
────
「よ、容赦無いねぇ……」
「あ?遠慮すんなっつったじゃねぇか」
「いやぁ……まさかポケットマネーがけし飛ぶほど頼まれるとは……」
「く……くく……」
注文が終了した時、口の端をひきつらせる菊岡と、首をかしげる涼人、顔を伏せて必死に笑いをこらえる和人がその場には残っていた。
と言うのも、キリトが頼んだの
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