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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十一話  反乱
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かが有るかもしれんし損害を軽減出来る筈だ」

なるほど、言われてみればその通りだ。皆も頷いている。
「いっそヴァレンシュタインを連れて来ては如何だ?」
「また卿は突飛な事を」
「今回の反乱はイゼルローン要塞を国際協力都市にしようとしたのが原因だろう。ならば奴にも責任は有る、そうではないか?」
真顔で問うな、ビッテンフェルト。皆が困っているだろう。

「まあ難しいだろうな」
「しかし実現すれば面白いな。奴がどんな作戦を考えるのか興味が有る」
ロイエンタール、ミッターマイヤーの会話に皆が頷いた。
「落とせるかな、あれを」
俺が問い掛けると皆が唸った。

「分からんな、増援は無いから大軍を用いれば、……そういう思いはある。しかしそれでも可能だろうかという疑問も有る」
皆がクレメンツ提督の意見に頷いた。それから暫くの間は“落とせる”、“落とせない”、“兵力は?”等と喋った。現実逃避かもしれないが少し楽しかった。俺だけではないだろう、皆も楽しかった筈だ。何度か笑い声も上がった、アイゼナッハも声を出さずに笑った。

「お客様、ミュラー少将から連絡が入っております」
ウェイターが声をかけてきたのは話が一段落ついた時だった。皆が顔を見合わせた。“厄介事かもしれんな、私が出よう”、そういうとメックリンガー提督がTV電話の有る方へと向かった。クレメンツ提督が“すまんが冷たい水を七人分頼む、急いでな”とウェイターに頼んだ。

メックリンガー提督が戻ってくるのとウェイターが水を持って来たのは殆ど同時だった。メックリンガー提督は席に座ろうとしない。召集がかかったか。何かが起きたようだ。
「何か有ったか、メックリンガー提督」
ビッテンフェルト提督が問い掛けると“うむ”と頷いた。

「宇宙艦隊司令部に集まれとの事だ。要塞攻略について作戦会議を始めるらしい」
「今からか?」
思わず声が高くなっていたがメックリンガー提督は無言で頷いた。そして立ったまま水を飲み始めた。皆顔を見合わせた、そして急いで水を飲んだ。急がなくてはならない。

宇宙艦隊司令部に行くと直ぐに会議室に行くようにと指示された。会議室にはオフレッサー元帥、ミューゼル総参謀長、ケスラー副参謀長が既に居た。元帥は不機嫌そうな表情をしている。良くない傾向だ、待たせた事を詫び席に着いた。
「揃ったようだな、ではこれからイゼルローン要塞攻略について作戦会議を始める」

オフレッサー元帥の発言を聞きながら妙だと思った。そう思っているのは俺だけでは有るまい。ミューゼル総参謀長もケスラー副参謀長も訝しそうな表情をしている。つまりこの二人も会議の内容を何も知らないという事だ。オフレッサー元帥が自分で攻略案を考えたのか? それともこれから皆で検討する? どちらもピンと来ない。


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