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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十一話  反乱
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とは」
「首脳会談も無事終わりこれから国内改革に専念出来るというのに」
「軍も同様だ。戦争が無くなりようやく再建出来る、そう思った矢先だ」
「厄介な事になった」
ロイエンタールとミッターマイヤーの会話に皆が頷いた。

「卿ら、艦隊の状況は?」
ビッテンフェルトの問い掛けに皆が顔を顰めた。
「訊くな、ビッテンフェルト提督。まだまだ訓練不足だ、皆もそうだろう?」
俺が尋ねると皆の表情が更に渋いものになった。

今夜はメックリンガー、クレメンツ、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ビッテンフェルト、アイゼナッハ、俺の七人で飲みに来ている。俺達は貴族連合軍の残党の掃討で中将に昇進し宇宙艦隊の正規艦隊司令官になった。ここには居ないがミューゼル大将は宇宙艦隊総参謀長に、そしてケスラー中将が副参謀長になっている。下級貴族、平民である俺達にとっては順風満帆、我が世の春なのだがどう見てもそうは思えない。泥濘に足を取られ頭のてっぺんから爪先まで泥に塗れてもがいている様な気がする。不幸感で胸が一杯だ。

「参ったな、今の状況でイゼルローン要塞を攻略しろと言われても……」
「攻略出来たとしてもこちらの損害も無視出来ないものになるだろう」
「そうだな、……大体そんな簡単に攻略出来る物ならとっくに持ち主は変わっている筈だ」
いかんな、現状を憂いるというより泣き言と愚痴になっている。陰々滅々、そんな感じになってきた。

しかし現状は悲惨というより陰惨だ。宇宙艦隊は約一万隻程度の正規艦隊を七個保有しているに過ぎない。総兵力は八万隻を僅かに超えただけで兵力も質も再建はこれからなのだ。そんな中、イゼルローン要塞と駐留艦隊が反乱を起こした。駐留艦隊だけでも一万五千隻を超える。失う事は帝国にとって大き過ぎる損失だ。おまけに要塞攻略の目処も立たない。攻略に失敗すれば大損害を被るだろう、軍の再建がそれだけ遅れる事になる。

「いっそ反乱軍、いや同盟軍にイゼルローンを攻略してもらっては如何だ?」
「はあ、ビッテンフェルト提督。卿、一体何を言っているのだ? 正気か」
俺がビッテンフェルトを窘めるとメックリンガー提督が“いや、待て”と俺を止めた。皆も不思議そうな表情でメックリンガー提督を見ている。ビッテンフェルトもだ、こいつ、何を考えてるんだ? さっぱり分からん。

「面白い、一理あるな」
「……」
大丈夫か、メックリンガー提督。皆が心配そうに彼を見た。一番心配そうに見ているのはクレメンツ提督だった。それに気付いたのだろう、メックリンガー提督が苦笑を浮かべた。
「そんな顔をするな、私は正気だ。我々にはイゼルローン要塞攻略の経験は無い。当然だがノウハウも無い。だが同盟軍には失敗したとはいえ経験が有る。入手出来るのなら入手した方が良いだろう。要塞攻略に繋がる何
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