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久遠の神話
第百六話 決戦の前にその三

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「純粋な方です」
「俺は純粋か」
「ただ戦いたいだけの方ですので」
「それが俺の欲だがな」
「欲は欲ですが」
 それでもだというのだ。
「その欲は邪なものでなく純粋ですので」
「いいのか」
「私はそう思います」
 こう言うのだった、加藤に。
「それではこれで」
「そうか、では最後の戦いの時にだな」
「お呼びします」
「それまでは他の戦いを楽しんでおく」
 ストリートファイトや地下世界での戦いを、というのだ。
「そちらにいる」
「では最後の戦いの時に」
「呼んでくれ」
「そうさせてもらいます」
 こう話してだった、声は加藤の下から気配を消した。一人に戻った加藤は彼の日常生活に戻った。それは普通の日常だった。
 上城は学校の食堂で樹里と共にいた、そこでだった。
 共に昼食を食べつつだ、こう言うのだった。
「昨日のラーメン美味しかったね」
「そうでしょ、あのラーメンはね」 
 樹里は微笑んでその上城に答えた。
「他のお店とはまた違うのよ」
「凄い美味しさだったね」
「だからなのよ」
「ご馳走してくれたんだね」
「ええ、そうよ」
 テューポーンに勝ったお祝いにしたというのだ。
「それで最後の戦いの後は」
「パーティーだね」
「腕によりをかけて作るから」
 種類も量も多いご馳走をというのだ。
「それとお酒も用意するから」
「それもだね」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「本当に楽しみにしててね」
「そうさせてもらうね」
「だからね」
 それ故にとだ、樹里はここで強い顔になって上城に言った。
「勝ってね」
「うん、そしてだね」
「生きて帰ってね」
「そうするよ、絶対に」
「約束だからね」
「うん、生き残るよ」
「戦いも終わらせてね」
 このことも念押しする樹里だった、そしてだった。
 話題を変えたのだった、樹里は上城が今食べているスパゲティを見てだ、その彼に対してこう言ったのである。
「ねえ、それペペロンチーノよね」
「うん、そうだよ」
「上城君パスタはトマトが好きだったのよね」
「そうだけれどね」
 それでもと返す上城だった。
「たまにはペペロンチーノもいいかって思ってね」
「それでなの」
「うん、今はこれを食べてるんだ」
 それでだというのだ。
「美味しいよ」
「そうなのね」
「そう言う村山さんは」
 上城もだ、樹里が今食べているものを見て言った。
「今日は定食なんだ」
「鯖味噌定食ね」
 見れば樹里が食べているものはそれだった、鯖味噌にキャベツとレタスにトマトのサラダ、味噌汁にもやしのおひたしに御飯である。
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