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ピカソの食道楽
第三章

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「君の思う通りにね」
「わかったよ、じゃあ作ってみるよ」
 ピカソも友人に応えた、そしてだった。
 数日後ピカソを友人を呼んだ、そうして出してきた料理はというと。
 グラタンだった、しかもそれはただのグラタンではない。白いチーズの中に黒い部分が見える。白いものもある柔らかそうなそれは。
「牡蠣だね」
「うん、そうだよ」
「しかも多いね」
 見れば尋常な数ではない、グラタンのチーズよりも牡蠣が多い感じだ。
 その牡蠣がこれでもかと入っているグラタンを見てだ、友人はピカソに言った。
「よくもこんなにグラタンを入れたね」
「うん、牡蠣がエネルギーになるからね」
「しかも美味しいからだね」
「ちょっと作ってみたんだ」
 その牡蠣が目一杯入ったグラタンをだというのだ。
「こうしてね」
「そうなんだね、じゃあ今から」
「うん、食べてみよう」
 こうしてだった、二人はピカソが作ってみたその牡蠣が異常なまでに入ったグラタンを食べてみた。友人は一口食べてからこう言った。
「うん、いいね」
「美味しいね」
「うん、美味しいよ」 
 こう言ったのだった。
「これはワインにも合うね」
「そうだね、それにね」
「これもいいと思うよ」
「エネルギーになるね」
「うん、なるよ」
 友人はピカソにこのことも言った。
「これはいいと思うよ
「よし、それじゃあこれからはこのグラタンも食べていくよ」
 牡蠣がこれでもかと入ったグラタンをだというのだ。
「そうしていくよ」
「そうするといいよ。このグラタンも食べて描いていくんだね」
「そうしていくよ、大蒜にステーキにね」
 この牡蠣のグラタンもだというのだ。
「そうして描いていくよ」
「君の創作は食事からなんだね」
「それもエネルギーになるね」
 食べること、まさにそれからだとだ。ピカソも笑顔で答えた。
「そうしていくよ」
「芸術家は食べることから出来ていくんだね」
「食べないとエネルギーが沸かない、恋も出来ない」
 ピカソはスプーンでグラタンを食べつつ話していく。
「そして描くことも出来ないよ」
「何もかもがそこからだね」
「そういうことだよ」
 笑顔で応えたピカソだった、二十世紀を代表する画家パブロ=ピカソはその芸術へのエネルギーを食べることからはじめていた。このことは意外と思うかも知れないが彼が食事も楽しんでそこからエネルギ0−を得ていたことは事実だ、人間は何事もまずは食べるということからということか。


ピカソの食道楽   完


                          2014・2・17
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