第七章
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「助かってるわ」
「じゃあお互いなんだね」
「そうね、私達はね」
「ううん、ペアは」
「ただ一緒に息を合わせて滑るだけじゃなくて」
二人で言う、今は練習を中断して心を落ち着けさせている。
「助け合う」
「フォローし合ってアドバイスも出し合ってね」
「そうしていくものなのね」
「そうなんだね」
「その通りだ」
スケート場に一緒にいる津山から声がした、見れば彼はスケートシューズを履いてそのうえで腕を組んで立っている。
「二人共わかった様だな」
「ペアのことが、ですか」
「そのことが」
「そうだ、ペアとは何か」
津山は二人に熱い口調で話した、普段よりそうなっている。
「それはただ一緒に演技をするものじゃない」
「そしていつも一緒にいるだけでもない」
「そういうことですね」
「互いに助け合うことだ」
それこそが、というのだ。
「そうしてその中でそのシンクロを増していくものなのだ」
「そうだったんですね」
「それがペアなんですね」
「そしてそのことがわかればだ」
それで、とも言う津山だった。
「君達は大丈夫だ、大会にも出られる」
「例え技術的にもですか」
「拙くても」
二人はこのことを言いはした、だが津山はそのことについても言うのだった。
「それは後からついてくるものだ」
「技術は、ですか」
「そちらは」
「そうだ、このまま練習を続けるのだ」
そちら、大会で最も重要だと思われがちな技術についてはそれでいいというのだ。
「ではいいな」
「はい、わかりました」
「それでは」
「大会の順位は正直どうでもいい」
津山もそれすらもと言い切った。
「君達は順位、優勝よりも遥かに重要なものを手に入れたのだからな」
「ペアが何であるか」
「そのことを理解したからですか」
「それは後でついてくる」
技術は、と。また言う津山だった。
「君達はこれからも進んでいくのだ」
「わかりました」
津山に二人同時に応えた、そしてだった。
二人は練習を再開した、二人のペアはより一層素晴らしいものになっていた。そのうえで共に大会に出てだった。
惜しくも優勝はならなかった、準優勝だった。しかし二人はその結果にも笑みを浮かべ合ってそのうえで言うのだった。
「これからもね」
「うん、一緒にやっていこう」
「俺達はペアだから」
「そうしていこう」
真のペアとして進むことを約束するのだった、これからも。
ダブルアクション 完
2014・4・25
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