第五章
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「彼女が何者かはわかりましたので」
「ではあの美女は何者なんだ?」
「どういった女なんだい?」
「霊です」
それだとだ、デュパンは彼等に答えた。
「彼女は霊なのです」
「霊!?」
「そうなのか」
「それも普通の霊でjはなく」
どうした霊かもだ、彼は警官達に話した。
「この町で蜂起の時に殺され、特にギロチンにかけられた」
「市民の霊なのか」
「そのうちの一人か」
「いえ、一人や二人の霊ではなく」
殺された者のうちの一人ではないというのだ。
「多くの殺された人達の無念や怨念が集まった」
「そうした存在なのか」
「そうした霊なのか」
「そうです、これは夜の世界の知識なので」
霊、それも悪霊やそうした存在のそれはというのだ。
「僕も知っていまして」
「対応が取れるのか」
「そうなのか」
「これでも魔を祓ったことも幾度もあります」
今回の美女の様な存在も、というのだ。
「ですからお任せ下さい」
「そうか、それじゃあな」
「君に任せ続けるよ」
美女のこともこれから何をするのかを聞いても警官達はこう言った、何しろそう聞いても彼等がどうにか出来ることではないからだ。警官もまた昼の世界にいて昼の世界のことを取り締まる存在であるからだ。
「僕達には何も出来ないから」
「だからね」
「お任せ下さい」
デュパンもだ、笑顔でこう彼等に言うのだった。
「ここは」
「うん、ではね」
「頼むよ」
「はい」
「では参りましょう」
神父もここで一行に言う。
「広場に」
「もうすぐ着きますね」
デュパンは今も穏やかな顔である、その顔で神父に応えてだった。
神父に案内される形で広場に向かった、そうして。
早速退魔の儀式をはじめた、身なりを整え聖水や十字架も用い祭壇も用意して。そのうえで聖書の一節も読みながら儀式を執り行った。
神父と警官達は彼の後ろでそれを見ているだけだ、そして。
デュパンが全ての儀式を終えるとだ、その前に。
黒い服を着た美女、身体が半ば透けている青ざめた美女が現れた。確かに顔は整っているが髪は乱れ目の色は死んでいる。
その美女が彼の前に現れてだった。
デュパンに対して一礼した、そのうえで静かに消えたのだった。
そこまで見てだ、神父が警官達に話した。
「あの美女がです。私はその姿を見ていませんが」
「それでもですね」
「あの美女が」
「そうです、町を騒がせていた美女です」
他ならぬ、というのだ。
「その美女です」
「そうだったのですか」
「では今の儀式で」
「はい、魂は浄化されました」
デュパンの儀式、それでだというのだ。
「もうこれでこの町の憂いは消え去りました」
「では事件は解決しましたか」
「これで」
「はい、終
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