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ギロチンの女
第四章

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「そこで神父様にお願いしたいことがあります」
「神父様にかい」
「その人にか」
「はい、そうです」
 穏やかな笑顔で答えた彼だった。
「まずは」
「ううん、そうか」
「教会にか」
「そうです、そこに」
「何故だ?」
「何故ここで教会なのだ」 
 警官達はデュパンの考えがわからなかった、それでいぶかしむ顔になりそのうえで彼に問うたのだった。
「それがわからないが」
「どういう考えなのだ」
「神父様によりますが」
 だが、だった。彼は微笑んでその警官達にこう言うのだった。
「確かな神父様なら大丈夫です」
「余計にわからない」
「君は何を考えているのだ」
「教会に行けばわかります」
 その時にというのだ。
「では今から」
「そうか、ではな」
「とりあえずはな」
 警官達は話が全くわからなかったがそれでもだった。
 彼等もここはデュパンに任せると決めていた、自分達ではどうにも出来ないこともわかっていたからである。
 それで彼等は町の教会に向かった、その教会に入ると。
 三十代半ばと思われる温厚そうな顔の親父が出迎えてきた、デュパンは彼に挨拶をすると単刀直入にこう言った。
「いきなりで申し訳ありませんが」
「何でしょうか」
「この教会の聖水や十字架をお借りしたいのですが」
「といいますと」
 ここでだ、神父の目の動きが止まった。表情はそのままであるが。
「今この町で起こっていることで」
「そうです、お力をお借りしたいのです」
「そうですか、わかりました」
「お借りして宜しいでしょうか」
「残念ですが私はそうした退魔は退けられませんが」
「それでもですね」
「神の忠実な僕であるつもりです」
 神父はこうデュパンに答えた。
「ですから聖水も十字架も」
「確かなものですね」
「そのつもりです」
「ではお願いします」
 微笑みのままでだ、彼は神父にまた言った。
「必要なものを全てお貸し下さい」
「私も同行して宜しいでしょうか」
「是非」
 デュパンは神父の申し出にも微笑んで応えた、そしてだった。
 警官達と共に教会を出た、神父も一緒である。だがここでもだった、警官達は訳がわからずこう彼に問うのだった。
「あの、今もだが」
「全く訳がわからないのだが」
「一体どういうことなのだ?」
「教会に行って聖水や十字架を持って」
「聖書まであるではないか」
「何を考えているのだい?」
「祓います」
 デュパンはいぶかしむ彼等に微笑んでこう答えた。
「そうします」
「祓う?まさかと思うが」
「美女をかい」
「そうです、僕は美女には会っていませんが」
 それでもだというのだ。
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