第八話 Xasarda
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扉を開いた先に何がいるのかは大体想像できていた。
故に、別に驚きはしなかった。
月夜の黒猫団の面々……。
だが……見知らぬやつが一体、いや、二体。
黒髪の少女と、やたら凛とした顔の槍を持った女性。
女性は見たところ、二十台前半、と言ったところか。
ポインターが緑のところを見ると、あれはちゃんとしたプレイヤーなのだろう。
紅色のストレートな長い髪に、ピュアホワイトとファイアレッドを基調とした外套のような服。
その手に持つ槍は、人の丈よりも遥かに長く、鎌と槍を合わせたような形をしている。
……特殊リーチのあの槍、知ってるぞ。
露店じゃ5M以上で取引される超火力型のランスで……高級品だ。
確か、ホースキラー……!
STRを上げてなきゃ装備できない重火力型の武器を、よくまぁ装備したもんだな……。
そう思いながら、構えると、見知らぬ二人は口を開く。
「始めましてこんにちは。 まずはここまでたどり着けたことを素直に祝福します。 おめでとうございます!」
そう言って、少女は手を叩く。
それに合わせるように、隣にいた女性も手を叩くと。
「いやはや、待っていた甲斐があるというものだ。 屈強な精神力を持つ人間しかここに辿りつくことは出来ない。
今までここを訪れた者は20にも満たない。 まぁしかも、その大半が……」
そこまで口にし、一度区切った後、笑顔でこちらへと視線を向ける。
「大体はここでリタイヤしてしまうらしいのだ。 ああ、安心したまえよ。 別にここをクリアしなくてもクエストはクリア扱いになる。
ここは言わばボーナスステージ。 クリアした者はいつでも、好きな時にこのダンジョンに入れるようになるという恩恵がある。
しかもいつでもクエストを受けられるというオマケつきだ。 私はここをクリアしたからこそ、寝床にさせてもらっているがね」
そう言って、女性はクスクスと笑う。
……趣味悪いな……コイツ。
こんなところに、住みたくねぇ。
大体、こんなクエスト、1回やれば十分だ!
「へぇ。 なるほど、ね。 で、アンタらはなんですかね? こちとら人見知りでね、素性を名乗ってもらわないと緊張しっぱなしなんですよ」
あくまでも、初対面故に、紳士的に接して見るが……。
そんな俺の言葉を聞いた瞬間、目の前の二人は笑った。
先に口を開けたのは、黒髪の少女。
「ああ、ごめんなさい。 私はとある人工知能の端末の一体。 MHCP001-2 本来の用途はカウンセリング用なんですが……とある不祥事でバグが溜まりましてね。
それを解消するために、このゲームを司るカーディナルが定期的にこのクエストを開く形で解消させてもらってるんですよ」
そこまで、無邪気な笑顔で口にした後。
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