暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
とある夜の出会い
[1/4]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
シリカは唇を噛んだ。
理由は単純、今現在絶賛迷子中の第三十五層北部【迷いの森】での最強クラスのモンスター『ドランクエイプ』三匹に囲まれているからだ。
しかも手持ちの回復結晶は切れている。
とは言え──。
レベル的には、それほどの危地というわけでもなかった。
シリカ達中層クラスのプレイヤーがフィールドに出る場合、出現モンスターに対して充分すぎるほどの安全マージンを取るのが通例である。
目安的には、ソロで五匹のモンスターに囲まれた場合でも、回復手段無しで勝てる程度以上、ということになる。
なぜなら、最前線でゲームクリア目指して戦うトップ剣士達とは違い、中層プレイヤーが冒険を行う理由は、一つには日々の生活に必要な
お金
(
コル
)
を得るため、二つ目は中層クラスに留まるための最低限の経験値稼ぎ、三つ目にぶっちゃけ退屈しのぎといったところだからだ。
どれも、現実の死を賭けるほどの目的とは到底言い難い。実際【始まりの街】には、死の可能性をわずかでも増やすことを忌避したプレイヤー達が千人以上も残っている。
しかしながら、そこそこの食事をし、宿屋のベッドで寝るためには定期的な収入が必要だし、何よりプレイヤーの平均レベル圏内におさまり続けていないと不安になってしまうのがMMOプレイヤーの宿痾ということもあって、ゲーム開始から一年半近くが経過した現在では、ボリュームゾーンを形成するプレイヤー達は充分以上のマージンを取った上でフィールドに出かけ、それなりに冒険を楽しむようになってきた。
それゆえ──。第三十五層最強クラスのドランクエイプ三匹といえども、竜使いシリカの敵ではない、はずだった。
疲労した精神に鞭を入れて、シリカは短剣を構えた。肩からピナがふわりと飛び上がり、こちらも臨戦態勢を取る。
木立の奥から現れたのは、全身を暗赤色の毛皮に包んだ大柄な猿人達だった。右手に粗末な棍棒を握り、左手には瓢箪にヒモをつけたような壺を下げている。
猿人が棍棒を振り上げ、犬歯をむき出して雄叫びを上げている最中に、先手必勝とばかりにシリカは先頭の一匹に向かって地を蹴った。
短剣
(
ダガー
)
スキル中級突進技《ラピッドバイト》を命中させて大きくHPを削り、そのまま短剣の身上である高速連続技に持ち込んで圧倒する。
ドランクエイプが使用するのは低レベルのメイススキルで、一撃の威力はそこそこ大きいものの攻撃スピードも連続技の段数も大したことはない。
シリカは連撃を的確に浴びせては素早く飛び退って敵の反撃をかわし、また踏み込むというヒットアンドアウェイを繰り返してたちまち一匹目のHPバーを減らしていった。
ピナも時折シャボン玉のようなブレスを吐き、猿の目を幻惑する。
四度目のアタックで連続技《ファッドエッ
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ