暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八七幕 「買い物道とは待つことと見つけたり」
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かねないのでやめた。弾とて悪い顔ではない筈なのだが、行動の節節に浅ましい欲望が垣間見えるのが彼のモテない原因だろう。それでもユウは、そういう所も含めて弾という男を友達として好いている。不良時代から更生する切っ掛けの一人になったのが弾だったからだ。と―――突然誰かとぶつかってしまい、その思考は遮られる。

「わわっ、っと。すいません!ちょっとよそ見を・・・」
「いえ、気にしてないわ。私も油断してたし?」

咄嗟に謝ったユウの目の前にいたのは20代くらいの女性だった。黒に近いさらりとした茶髪を揺らし、身長はユウより少しばかり高い。ぶつかられた女性は別段ぶつかられたことを気にしている風でもなく、こちらに軽くウィンクして自分の非もあったと言った。とてもフレンドリーな人のようだ。
しかし、とユウは思う。気のせいでなければ、ユウは女性が接近してからぶつかるまでの気配を全く感じなかった。目の前に向かってくる人間はよそ見しながらでも気配を察するくらいは出来るのに、何故彼女に気付けなかったのだろうか。つい疑問を抱いたまま女性の顔を見つめてしまう。

「あら、どうかしたの?・・・はっ、まさか一目惚れ!?だ、だめよそんな・・・私なんてもうオバサンなんだからもう!」
「え、いや十分若いと思いま・・・じゃなくて!別にそんなやましい事を考えてたわけでは!」
「あら、一目惚れってやましい事なの?いーけないんだいけないんだー!彼女さんに密告しちゃうぞ?」
「いませんからっ!!」

ムキになって否定すると女性はこちらの様子を可笑しそうにコロコロ笑った。これか、童顔もあってかは知らないが完全に子ども扱いされている。これが嫌で背伸びをしたいのだが、何故出会ったばかりの女性にこんなに翻弄されているのだろうか。
なんともはや、向こうのノリにうまく乗せられているような気がする。そう、丁度兄にからかわれているようなデジャヴを感じた。そんなこちらの反応をいっそ嬉しそうと言えるほどの笑顔で観察した女性は笑い声を漏らす。

「ふふっ、あははははっ♪もう、ちょっとからかっただけなのに可愛いんだからぁ!」
「か、からかわないで・・・うわぁ!?」
「ほーら捕まえた!んー、なかなか鍛えてるわね。関心関心」

言葉が終わった時にはユウはいつの間にか女性に抱きしめられていた。動きが速すぎて全く反応できなかったユウの身体がかちんと固まる。いきなり見知らぬ女性にからかわれた挙句抱きしめられるなんて今までの人生で経験したことが無い。
しかもここは人の往来が多くあるショッピングモールだ。既に周囲の目線が突き刺さっており、まるでいい年をして母親に抱っこされてる子供のような羞恥心がこみ上げてくるのをこらえてもがくが、両腕の拘束を振りほどけない。何故こんな変な人に翻弄されているんだろう、とユウ
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