暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八六幕 「クイーン・セシリア」
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映画館を後にし、隣接するショッピングモールに向かう、その最中。谷本癒子は映画のラストが衝撃的だったのか未だに泣いていた。館内にはそれなりに映画に感動して涙を流す人がいたが、癒子はその中でもかなり泣いている方だ。今だけは周囲の視線がこちらに注目していない事に内心感謝する。

「うう・・・ヒデアキ博士が・・・ヒデアキ博士がぁ・・・!!」
「どんだけヒデアキ博士に入れ込んでるの癒子ちゃん・・・」
「でも確かにあのシーンは胸にぐっとくるものがありました!感動です!(おとこ)らしかったです!!」
「自分の開発した爆弾が起動するかを、確かめるために、独りで艦内に残る・・・博士は開発者の鏡・・・!」

ヒデアキ博士とは、物語内で重要人物の友達ポジションであり、同時に優れた技術者として時折作品内で名前の挙がったキャラクターで、小説版では主人公も務めた男である。
ゲーム原作には登場していないにも拘らず映画に登場すると発表されたときはファンも歓喜の声を上げたものだ。癒子は余程ヒデアキ博士の事を気に入ったらしく、映画ラストで自身の爆弾が正常に作動したことを確かめて微笑みながら爆発に巻き込まれるシーンでは号泣していた。
・・・なお、他の訓練された観客たちは一様に画面に向かって敬礼をしていたが。この界隈では妙な所で謎の連帯感が生まれるのが不思議だ。

「うう・・・あんな最後、寂し過ぎるじゃないの・・・」
「癒子さん・・・大丈夫だよ」
「えっ・・・?」
「博士の雄姿は・・・物語の目撃者になった、私達の胸の内に・・・いつもあるから」
「・・・・・・そっ、か。そうだよね・・・博士はいつだって私たちを見守ってくれてるよね!」

よく分からないが立ち直った癒子は簪と熱い抱擁を交わす。なにか、2人の間に絆の様な共有意識が生まれたらしい。
正直あまり女の子受けする作品ではないのだが、好きになってくれたのなら何よりである。もっとも、ユウは映画前半くらいまでは簪の事が気になりすぎてあまり見ていなかったのだが。女に弱い等という情けない弱点はぜひとも克服したいのだが、方法については見当もつかなかった・・・む、なんだか兄に笑われているような気がする。

「・・・さて!泣き止んだところでご飯食べに行きましょう!」
「涙流したらお腹すいちゃった!ショッピングモールの中に美味しい店があるって評判だから既に予約取ってあるよ!師匠名義で!」
「さては癒子ちゃんここぞとばかりに僕のお金で食べまくる算段だね!?」
「私が、出そうか?」
「そ、それは流石に申し訳ない・・・って、あれ?」

いくら簪ちゃんも資金に余裕があるとはいえ、ここで受け入れては甲斐性無しみたいだと断ろうとしたユウは・・・外で何か騒ぎが起きていることに気付いた。あの見覚えのある金髪ロールと隣のサ
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