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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos28夜天に願いを・祝福の風を継ぐ者へ〜From Me to You〜
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祝福の風
(
リインフォース
)
は無くさない、と。それはつまり祝福の風リインフォースという名を新たな魔導の器に受け継がせるということだ。
そこまで想ってくれてことがとても嬉しかった。手の平に具現するのは、“
夜天の魔導書
(
わたし
)
”から切り離した剣十字。コレが主はやての新たな魔導の器となるだろう。剣十字を両手で持って胸に抱き、改めて夜空を見上げる。
「主はやてとルシル、騎士たちと、これからの時間を共に過ごせないことに対して悲しみが、寂しさがないとは言えば嘘になる。だから半年という残りの命、私は精いっぱい生きるよ。私だけでなくみんなが笑っていられる穏やかな中で逝けるように」
空から白い・・・雪がチラホラと降って来た。
「ただ、その先からは、私は主はやてを守って差し上げることが出来ない。ゆえに祝福の風を受け継ぐお前に願う。主はやてを守り、騎士たちと共に戦い、あの優しく温かな家庭から誰一人として欠けさせることなく、幸せに生きていってほしい」
剣十字を持つ両手を空へと掲げ、最後に伝えたい事を夜天に向かって話す。
「私の名を受け継いだとしても、お前は私の代わりなどではなくお前というただひとり存在だ。だからどうか変に気負うことなく胸を張って、強く生きていってほしい」
それが伝えたいこと。新たなリインフォースが生まれるのが私の消滅より後であれば、今の想いをこの欠片に留めて、いつか新たなリインフォースに届けたい、と思う。
「冷えてきたな。戻ろう」
剣十字の具現を解いて頭に付いた雪をサッと払った時、「なんでこんなことに・・・!」息を切らしたルシルがやって来た。散々玩ばれたのか髪が乱れ、疲労に満ちた顔をしていた。そんなルシルは扉に結界を張り、そして「こうなったら」と指を鳴らす。一瞬の発光の後、ルシルは大人の姿へと変身していた。服装はもちろんドレスではなくシャツにジャケット、スラックス、ネクタイという礼服だ。
「リインフォース? どうしたんだ、こんなところで」
「いや、なんでも」
やはりどう見てもオーディンだな、と思っていると「冷えるぞ」とルシルは言って、着ていたジャケットを私の肩に掛けた。冷えた体が温もりに包まれてポカポカとしてくる。オーディンの側に居た時に感じたものと同じ良い心地だ。先ほどシャルロッテに絵画の写真を見せてもらったことも相まってかオーディンと過ごした日々が脳裏を一気に過ぎる。
「リインフォース!? なんで泣いて・・・!?」
「??・・・私は、泣いているのか・・・?」
頬に触れると判る涙。後悔なんてしていない。それは確かだ。それなのに、まだ生きていたいと思ってしまう。オーディン達と過ごして手に入れた最初の幸せ、主はやて達と過ごして手に入れた最後の幸せ。数多くの思い出が胸のうちを温かく
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