2ndA‘s編
第九話〜見え始めた全容〜
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くるがそんなものを気にしている余裕すら今のライにはない。
無我夢中で手の握る力を上げる。今の状態でどれだけ力を出せることができたのかは分からなかったが、何かが外れるような手応えを感じた瞬間、胸から生える腕と身体に掛かる虚脱感は引いていった。
急に戻った感覚の安堵感から、ライはその場に倒れる。だが、意識を手放すことは唇を噛み締めることで何とか防いでいたが。
倒れ付した身体が休息を求めてくるが、その前に聴覚が草を踏みしめる音を脳に伝えてきた。
「……まさか、抵抗してくるとは」
驚きか、それとも感嘆かはわからなかったが、そんな言葉が聞こえてくる。
体調がもう少しマシであれば、悪態の一つでも返すところであったが確認すべき事項の方が先であった。
「………にげ……る、まえに……こたえ…ろ……」
「……」
ライのリンカーコアに干渉してきた方法は十中八九魔法である。その為、ここ最近は警戒を厳しくしている管理局は今回の魔力反応も観測しているはずだ。
なので、ザフィーラがここを迅速に離れる必要がある事を理解しているライは最後に言葉を吐き出す。
「……今回、接触したのは僕だけか?」
流暢に喋れたのは、自分にとってそれだけ重要なことであったからかどうかは、当人も分からなかったが、その質問は確かに目の前の武人の耳に届いた。
「……」
沈黙と細めた目からの視線しか帰ってくることはなかったが、それだけでライにとっては十分な回答となった。
そのザフィーラの反応を見届け、今度こそライは全身が訴えてくる疲労感に身をゆだねた。
???
重く感じる目蓋を開ける前から感じる既視感。その事に違和感を持たない自分にゾッとするが、その空間を視認するとそれも『そういうものである』と納得してしまう。
そこに広がるのは、以前来た湖を連想させる暗いどこか。その場所にライは浮くように立っていた。
「……」
以前来た時よりもハッキリとした感覚があることに疑問を持ちながらも、辺りを見回す。すると、今回はすぐそばに彼の探し人がいた。
「お前は……」
「……来たよ」
ライが現れたことに驚いたのか、それとも約束を守ったことに驚いたのかは定かではないが、彼の探し人である女性はその赤い目を見開く。
しかし、その驚きの表情に対してライの表情はどこか険しいものであった。
「……ハッキリさせたいことがある」
「……聞こう」
差し迫っていることに焦っているようなライの表情に、何か感じることがあったのか疑問を挟まずに彼女は先を促した。
ライは語る。この世界に来た経緯を、元の世界で彼女の声を聞いた事を。そしてこの世界に来てから何を経験したのかを。
冗談にも聞こえ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ