2ndA‘s編
第九話〜見え始めた全容〜
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…いや、まて、ならば奴は自分の場所を教えることをして、主の情報など与えない」
「……っ」
言いくるめられると甘く見ていたが、彼らの仲間内の信頼は高くライの舌先三寸の嘘は通じなかった。その事に歯噛みすると、ライの視界が一瞬青白い光に染まる。
何事かと思いながらも、光の元に視線を向けると、そこには青いバリアジャケットを纏い、鍛えられた肉体と白銀の髪と耳を持つ男が立っていた。
「本当のことを喋る気がないのであれば、貴様はここで退場してもらう!」
腕に嵌められた手甲が彼の戦闘スタイルを如実に表し、それに相応しい構えを見せる。
ライはザフィーラが人型になれることは、内心で驚きはしても顔に出すようなことはしなかった。
(話がこんな形で拗れるなんて。シグナムさん達と敵対する気はないのに……)
正直な気持ちを内心で吐露しながら、ライは辺りを見回しながら逃走ルートを定めていこうとする。
「最後に質問がある」
「……」
時間稼ぎの為に少しでも会話を続けようと話しかけるが、帰ってくるのは無言。
構うものかと自分を鼓舞しながら、口を動かす。
「『夜天の書』……この言葉に聞き覚えは?」
「?…………っ」
構えを解くことはなかったが、性格が律儀なのであろう。ザフィーラは怪訝な表情を見せ、思案した後にどこか引っかかるような表情を見せた。
(忘れている?それとも認識できていないのか?)
内心で疑問が一つ増えたが、取り敢えず自分が逃走の為に身構えることはできたと割り切る。しかし、そこでライはその違和感に気付いた。
(…………排除すると言いながら、どうして彼はすぐにこちらに向かってこなかった?いや、そもそもどうして彼は最初から自分を拘束すると言う手段を選ばなかった?)
思考は一瞬、即座に答えは出た。
自分の胸、正確にはリンカーコアが存在する箇所への痛みという形で。
「な、に?」
胸に走る痛みと、襲ってくる虚脱感に膝を付きながらもライは“ソレ”に目を向けた。
「――腕?」
キチンと自分がその言葉を発音できているのかどうかも、今の彼には判断がつかなかったが自分の胸から伸びる腕を視認することは出来ていた。
その腕の手の先には銀色に輝く球体がある。感覚的なことではあるが、それをライは自分のリンカーコアであることに気付く。
「ま、ずっ!」
ライの呟きも虚しく、リンカーコアから夥しい量の魔力を持っていかれる。
その際のえも言われぬ喪失感に叫び声を上げそうになるが、その衝動すら活力にしライはその腕に自分の手を伸ばした。
「ギッ」
『「!」』
微細に震える手でその腕の手首を握り締めると、どこか驚いている気配が伝わって
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