2ndA‘s編
第九話〜見え始めた全容〜
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ケンリッターの関係する人物であることを確定情報として認識する。
「……貴様の狙いはやはり闇の書か?」
「彼女と会えるのであれば、そうなるかもしれない」
ザフィーラは武人である。そしてヴォルケンリッターの中では精神的に冷静なものを持っている。しかし、交渉事になると話は別になってくる。
これまで道具として使ってこられた彼は、自己防衛として考えることを放棄していた時期がある。その為、戦闘中の駆け引きはともかく、会話での腹の探り合いは得意ではない彼は、ライの真意を読み取れずにいた。
「…………我らが主のことを知っていたのは何故だ?」
「……その女性から教えてもらった」
「嘘だな。奴がそんなに簡単に主の情報を渡すはずがない」
腹の探り合いができない自分を十分に理解したザフィーラは正面から、自分の考えをぶつける。事ここに至って、彼は下手に言葉を選ぶよりも堂々と疑問をぶつけることを選んだのだ。
「……僕にとっては、彼女に会うことが今の目的であって、君たちの主に危害を加える気は毛頭ない」
「それを信じろというのか?」
「そちらが察している通り、管理局にその事については一切喋っていない」
「……」
「ああ、自分は本当に交渉事には向いていない」とザフィーラが考え始めている中、ライの方も思考が行き詰まっていた。
(まいった。ザフィーラはあらゆる意味で交渉事に向いていない)
ザフィーラは良くも悪くも潔癖な性格だ。その為、どこまで喋ることが自分たちにとって損をしないか、どこまでを取引材料に使っていいのか分からなければ、貝のように口を噤んでしまうのだ。
例え、ライがどんなメリット、デメリットがあるのか一から説明したところで、自分たちにとって要注意人物からの言葉など、判断の要因になっても決定打にはならない。
要するに、ザフィーラは自分にとって有利な情報を相手から引き出すことは得意ではないが、相手に情報を渡すこともしないのである。
(厄介な)
「先ほどの返答がまだだったな。もう一度問う、何故貴様が我らの主を知っている?」
「…………夢で出会った彼女は言っていた、主を救って欲しいと」
愚直なまでのザフィーラの態度に珍しくライの方が先に折れた。
「名前を教えてもらわなければ、助けようもないだろう」
「……助けるとは?」
「それを確認するために彼女に会いたいんだ」
未だにライにとっては、今回の件は不透明な部分が多い。彼女は主を救って欲しいと言っていたが、事件を起こしているのは寧ろ彼女たちの方なのだ。
なので、ライにとって主を何から救うのか、そして彼女がCの世界に干渉してくるほどの問題とは何なのかをハッキリとさせたかった。
「そうか…
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