参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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だけどね!」
「よしこれでもう俺も完璧だな。水くれ」
「調子に乗らない!はい水。…ってあんたどんだけ飲むのよ!それしか持ってきてないんだからね!?抹なんて遠慮して一口も飲んでないんだから、ちゃんと残しておきなさいよ!」
「はいはい」
「あのう…お二人はご夫婦ではないのですか?」
「は?」
突拍子もない発言に、あたしと惟伎高は啀み合ってたことも忘れてぽかんと抹を見た。二人分の視線を受け止めて、抹はおろおろと真っ赤になってしまう。
「いえ、あのう…」
「夫婦って言った?このあたしと、こんな胡散臭い生臭坊主が?」
「胡散臭いとは随分だな!」
「こんだけ一緒にいて、お経のひとつも詠んでるの聞いたことない坊主なんて、胡散臭くないわけがないでしょ!いい、抹。それだけは、絶対にあり得ないから。あたしはもっと…甲斐性があってかっこいい人が好きなの!」
惟伎高がいい人だって事はわかってるけど、恋愛となれば話は別よ!
「庵儒様も充分男前で在らせられると思いますが…」
「ふん」
あたしは鼻で笑った。
大体ね、こいつ佐々家の次期主候補よ?前田の総領姫と、佐々の次期当主の婚姻なんて考えただけで問題が多すぎてくらくらしちゃう。
そんでこいつのこの懐が大きいが故の優しさ。優しいのはいい。いいんだけれども、自分の夫が自分以外の女にも同じように優しくしてると思ってみなさいな。そりゃあやきもきすることでしょうよ。一生気苦労が絶えないわ。そんなの絶対にイヤっ!
「ピ〜ィ?随分な言い様だなァ?」
不意にぐわしと頭を押さえられて、わすわすと髪を遠慮無くぐしゃぐしゃにされる。
「なにすんのよー!」
「俺の妻に収まりたい人間なンて掃いて捨てるほどいるンだァぞ?」
「喜んでお譲りします。あ、抹なんてどう?こんな美人だし、あんたと並べば美男美女。子供が産まれれば相当な美人に…なに二人ともその顔」
あたしの言葉に、抹と惟伎高は顔を見合わせる。抹は困ったように笑い惟伎高はやれやれという顔をしていた。
「なによぅ」
あたしはくちびるを尖らせて問う。
「いや…むしろ抹とおまえがくっつけば話ははやいんじゃないか?正反対の性格のようだし、足して二で割れば丁度良い子供が産まれると思うが」
「あ…庵儒様!」
抹が真っ赤な顔で抗議したのを横目で見ながらあたしは考えた。
ふむ。確かに引っ込み思案で恥ずかしがりの抹と
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