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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第128話 劉協と董卓の不和
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「陳留王、ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。今日は失礼させていただきます」
「月っ!」

 賈?は董卓の言葉に抗議しようとすると董卓は後ろを向いて賈?の顔を見据えた。賈?は何か言いたそうな様子だったが何も言わなかった。



 陳留王の屋敷を出て董卓と賈?が馬車に乗り込むと走りだす。暫くすると賈?が口を開いた。

「月、どうして引き下がったのよ」

 賈?は不貞腐れた表情で董卓を見た。

「陳留王は知らないと言ったでしょ」

 董卓は天使の微笑みを賈?に返す。賈?は気勢が削がれたように溜息をついた。

「あんなの嘘に決まっているでしょ。あの餓鬼は間違いなく劉正礼と知り合いよ」
「もう。陳留王と車騎将軍のことをそんな呼び方しては駄目だよ」

 董卓は困った顔で賈?を見た。

「月、分かったわよ。陳留王、車騎将軍でいいんでしょ」
「うん!」

 董卓は満面の笑みを浮かべ賈?に言った。彼女の笑みは正に花が咲いたと表現が言い得て妙だった。

「月、陳留王と車騎将軍は知り合いのはず」
「それは詠ちゃんの推論だよね」
「そうだけど。私が鎌をかけた時の態度で確信に変わったわ。間違いなく知り合い」
「それでも陳留王を困らせないの。車騎将軍と知り合いだとしても、それを隠すということは事情があるんじゃないのかな。無理強いは良くないよ」
「月は全然分かっていないわ。車騎将軍が私達を本気で潰す気になれば跡形も無く叩き潰されるわ。本来なら袁本初を使って車騎将軍を抑えるつもりだった。でも、それに失敗した以上、車騎将軍と和解して向こうをこちらに取り込まざる負えない」
「詠ちゃん、どうして袁本初さんを捕らえようとしたの?」

 董卓は賈?を悲しそうな表情で見つめる。

「それは月のためよ」
「私はそんなことを頼んでない」
「月、あなたは天下を収める器量があるわ。私はあなたが蒼天を引き継ぐ日を側でみたいの」

 賈?は董卓の肩を掴み熱く語った。

「そんな恐れ多いこと考えたことないわ。私は皆が幸せに暮らせればそれでいいの」

 董卓は涙を瞳に湛え、賈?を見つめる。その表情に賈?は目を逸らし俯いた。

「月、ごめん。でも、月の望む幸せな暮らしだって何時まで望めるかわからない。これから世は乱れると思うわ。もう朝廷の威光は地に落ちようとしている。その時、月の望む未来を守るためには力がいるの。悲しい話だけど力がない者はただ一方的に蹂躙されるだけ。わかるでしょ。西涼でだって力ない民草が虫けらのように死んで行くのを毎日見たじゃない」
「詠ちゃん」

 董卓は賈?の言葉を聞き胸を痛めている様子だった。賈?が天下を望む理由。賈?もまた乱れた世を憂い少しでもよくしたいと思っていることが痛いほ
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