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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第128話 劉協と董卓の不和
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るに冀州へ出向く暇などないと思うが」

 劉協は賈?を見て言った。劉協の最もな意見に董卓と賈?は沈黙した。

「陳留王。本当に車騎将軍とご面識がないのでしょうか? 実は今日ここに参ったのは陳留王と車騎将軍が知己であると教えてくれた者がおりまして」

 賈?は劉協に鎌をかけた。一瞬、劉協の表情が強張るが直ぐに平静さを取り戻していた。しかし、賈?はその一瞬を見逃さなかった。

「知らぬな。そのようなことを申した者は誰なのだ?」
「内密にする条件で教えていただいたものですから何者かは申し上げるわけにはいきません」

 賈?は劉協の質問に答えなかった。

「まあよい。そのような世迷い言を口にする者など興味はない」
「陳留王、お願いいたします。車騎将軍と知己であればお力添えをお願いいたします。我らは車騎将軍の奥方に追手を放ち、そのことで恨みを抱かれているかもしれません」

 賈?は頭を下げ劉協に頼み込む。

「車騎将軍とは知己の間柄ではない。私などでなく皇帝陛下に言え」

 劉協は賈?の言葉など意に介さず突き放すように言った。

「我らは車騎将軍とのわだかまりを解消したいだけです。私事で皇帝陛下の手を患わせるなど不敬かと思いました。そこで陳留王の知己をお頼りしたいと考えました」

 賈?は劉協の言葉など聞いていないとばかりに話を続ける。その態度に劉協は怒りを覚えている様子だった。

「聞こえなかったのか。私は車騎将軍と面識などない!」

 劉協は正宗との関係を強く否定した。劉協と正宗の交流を知る者は先帝、張譲など極少数に限られる。この前の宮廷襲撃で主だった宦官が死んだ結果、劉協と正宗の交流を知る者はいない。それにも関わらず劉協と正宗が知己であると確信した態度を露にする董卓達に劉協は不信感を抱いているようだった。

「陳留王もう一度お聞きいたします。車騎将軍と面識がおありでないのですか?」

 董卓は陳留王に純真無垢な表情で質問した。

「あるわけがなかろう。車騎将軍は先帝に重用されておったから宮廷内で良く話を聞いた程度。しかし、袁本初が十常侍の誅殺したことは胸がすく思いであった。そう言えば張穣はお前達が誅殺したのであったな」

 劉協は上機嫌に言った。

「本当に車騎将軍とは知己でないのでしょうか?」

 賈?は劉協を厳しい表情で見た。劉協は賈?の威圧に動じることなく即答した。

「知らぬ。お前達も知っているだろう。私は母と若くして死に別れ董太后に育てられた。後ろ盾も何も無い私が車騎将軍と知己であるわけないだろう。車騎将軍と知己がある者など私の周辺に尚更いるわけなかろう」

 劉協は自らの身の上を恥じることもなく董卓と賈?に言い放った。二人は彼女の言葉に閉口せざる負えなかった。

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