第128話 劉協と董卓の不和
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「賈?っち、ウチ等詰んでるんとちゃう」
「だから時間稼ぎが必要なのよ。それに幽州には皇族の長老・劉虞がいるわ。彼女がいる限り、劉正礼が露骨に天下への野心を示すことは難しいはず。彼は後顧の憂いを取り除くまで南下しようと思わないわ」
賈?は真剣な表情で張遼を見た。
「劉正礼と何を交渉するんや。ウチ等の要求を『はいそうですか』と飲むとは思えんけど」
「不可侵の密約を交わすつもりよ。対価は彼女の姉・劉公山を?州牧への任官」
「?州の牧の地位か。青州で黄巾賊が跋扈しているから?州に牧を置くことは無理なことやないな。でも、劉正礼やなくて姉の劉公山にとはな。劉正礼は納得するやろか」
「劉正礼の一族、それも実姉に?州を任せるのよ。文句ないはずよ。これ以上、あいつに力をつけさせる訳にはいかないの。劉公山はあいつと違い文官肌の人物。青州黄巾賊を背後に身動きが取れなくなるはず。自ずと劉正礼は劉公山を支援するために戦力を分散することになる。劉公山自身も州牧になれば人材集めと政務に忙しくて朝廷へ目に向ける暇なんてないでしょ。劉公山が青州黄巾賊に殺されれば御の字なんだけどね」
賈?は青州の状況を見誤っていた。青州の黄巾賊は正宗の配下、張姉妹によって掌握されていた。正宗は青州を意図的に政情不安な状況に置くことで冀州牧である彼が青州へ介入する口実を作っていたのだ。
「陳留王と劉正礼が知己でない場合、どうするんや?」
「そのときはそのときよ。どうにかして劉正礼と交渉の糸口を作るわ。はあ。袁本初を抑えられなかったのは本当に痛いわね」
賈?は疲れた表情で嘆息した。それを見た張遼は申し訳なさそうな表情を賈?に返した。
「霞。あんたのことを非難していないわ。ごめんなさいね。ちょっと疲れているみたい。少し休んでから月と陳留王の元に出向くわ」
賈?は張遼に頭を下げた。
「そうか。じゃあ、ウチはお暇するな」
張遼は賈?に手を振り部屋を後にした。部屋に残された賈?は椅子に目深に腰掛け目を瞑り仮眠を始めた。数分後、賈?から寝息が聞こえてきた。
「陳留王、本日はご機嫌麗しゅうございます」
董卓と賈?は劉協の元を訪ねていた。劉協は賈?を確認するなり露骨に嫌そうな顔をしてきた。その態度に月は困った表情で劉協と賈?を見ていた。
「何用で参った」
劉協は董卓と賈?を見比べ感情の篭らない表情で言った。
「陳留王とお話をしたくて参りました」
董卓は屈託のない笑みで返事した。彼女の雰囲気からは悪意は全く感じられない。
「月、お前に言っているのでない。賈?に言っている」
劉協は賈?を訝しむような表情で見た。劉協と賈?の間には些か確執があった。賈?は張譲を誅殺しようとした麗羽に追手を放った
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