第128話 劉協と董卓の不和
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そんな素振りを見せず王允に相対した。
「王司徒、何でございましょう」
賈?は恭しく拱手して尋ねた。
「董少府はこう多忙では大変であろう」
王允は先ほどと打って変わって笑顔で声をかけてきた。賈?は王允の態度を訝しむが、それを態度に現すことはなかった。
「常日頃、董少府は朝廷のための苦労と思えば、苦労も喜びと感じると申しております」
「董少府には頭が下がる思いだ」
「もったいないお言葉でございます。董少府にも王司徒がそう仰られたと伝えさせていただきます」
「私は董少府の苦労を少しでも軽くしたいと思ってな。車騎将軍に都の治安維持を担っていただくため上洛をしていただいてはどうかと思っている」
「車騎将軍をでございますか?」
賈?の表情は強張った表情になる。王允は賈?の様子を見て笑顔のまま目を細めた。
「そうだ。華北での車騎将軍の威勢は飛ぶ鳥を落とす勢いと聞く。そのような御仁に都を守護していただければ我らとしても安心できよう。朝議に参加できぬほど多忙の董少府も少しは楽になると思うのだがな」
王允は畳み掛けるように賈?に言った。
「車騎将軍は冀州牧を兼任されております。現在、華北は異民族が跋扈し、車騎将軍はその抑えとして睨みを効かしているからこそ平原の安寧が守られていると具申いたします」
「賈尚書令は車騎将軍が上洛しては都合が悪いようだな」
王允は賈?を嫌そうな表情で見た。
「そのようなことはございません」
「先ほどのことは忘れてくれ。最近、田舎から上ってきた物騒な奴等の存在に不安感を募らせる者達が多くてな。車騎将軍であれば宗室という高貴な血筋と先帝に重用された人物であることから、その者達の心も安らかになるだろうと思っただけだ」
王允は態とらしい嫌味を賈?に言うと去っていた。賈?は王允の言葉を黙って聞いていたが彼女の拳は血の気を失うほど強く握り絞められていた。
「あいつ等!」
賈?は集議の間から一目散に自分の執務室に戻ると机に向い椅子に深々と腰掛け目を瞑る。暫くすると歯ぎしりし両手で執務の机の上を何度も叩き続けた。机の上に山積みになった竹巻が崩れ落ちるが彼女は気にも止めていない。
その様子を張遼は部屋の隅の壁に背中を預け腕組みしながらのんびりした表情で眺めていた。彼女は賈?に呼ばれて先に賈?の部屋を訪れていた。
「機嫌が悪そうやな。出直してきたほうがええかな」
「気にしなくてもいいわ。王允の婆とちょっとあっただけ」
「ほうか。王允は賈?っちに空きもせんと突っかかってくるな」
張遼は哀れむような瞳で賈?を見ると苦笑いをしていた。
「あいつとあいつの取り巻きは目の上の瘤だわ。いっその事、実力行使で排除してやりたいくらい。でも今
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ