置き忘れた生ごみ
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提条件。
新任の教育を名目にして、半年もの期間を塩漬けにする。
それを見て、セレブレッゼは置き忘れた生ごみと表現した。
汚職が確定しているわけではない。
だが、臭いだけは確実に漂っているというわけだ。
「このままでは漬物になりそうです」
「食えたものではないがな」
「しかし、まだ確定したわけではございませんので」
言葉を放ったウォーカーは、しかしセレブレッゼに見られて、汗を拭った。
下手に想像で進めれば、取り返しのつかない事になる。
慎重だが確かな意見に、セレブレッゼは頷いた。
「確かに。これだけでは何の証拠もない――実際にただの間抜けで、何の裏もないかもしれないな。だが、どちらにしろとアース社のいいなりにならないければならないというわけでもなさそうだ。勝てるか?」
尋ねたのはアレスに対してであり、アレスはゆっくりと頷いた。
「ええ。よけいな邪魔が入らなければですが」
「臭いの元はこちらで探ろう。だが、どちらにしろすぐに行動すべき案件だな」
言葉にアレスは頷いた。
時間を経てば経つほどに相手に有利に進む内容。
「既にアース社の営業には声をかけています」
「よし。と、すればこちらにも近いうちに反応があるか」
「なければいいのですが」
「まったくだ」
セレブレッゼは笑い、時計を見る。
視線を追ってウォーカーも見れば、入ってからは数分しか経過していない。
しかし、既に何十分もいるように覚える。
手にしたハンカチがじっとりと湿っていた。
それで再び額を拭うような気にもならず、懐にしまった。
見つめる先で時計を見ながら、セレブレッゼが思案している。
その様子はつい先日、隣の部下が思案する様子に似ていてウォーカーは腹に手をおいた。
時間が開いていなくても胃薬は飲むべきだった。
ウォーカーの中では十分――時間にすれば一分ほどで、セレブレッゼは書類をさし返した。
「二人とも理解していると思うが、この件は他言無用だ。誰も言わぬように」
確認にも似た言葉に、二人が頷くのを見届けた。
「それとマクワイルド中尉……君は確か三次元チェスが得意だったな」
「は。はぁ」
唐突な言葉に、隣でアレスが間の抜けた返事をした。
戸惑いを含む言葉に、ウォーカーは珍しいものを見たとアレスを見た。
「私も好きでね。どうかね、一局?」
笑みと共に呟かれた言葉に、アレスは意味を理解して頷いた。
「ええ。いつでもお付き合いさせていただきます」
「では、以上だ。この件はくれぐれも慎重にな」
こうして、ウォーカーの不幸は決定した。
+ + +
アース社の営業課長と営業員が青ざめた顔で会議室から出ていくのを見て、可哀そうだとウォーカーは
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