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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
置き忘れた生ごみ
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い士官学校出の若造。
 一時間に一回程度は質問して、それに答える。
 本当にきちんと仕事をしているのか不安になったものだった。

 そんな時に三日目にして初めて質問に来た。
 その内容にウォーカーは驚かされた。
 それは契約と仕様の小さな齟齬の部分であり、きちんと契約書を見ていなければ分からない。いや、例え契約を知っていても見落としてしまうような細かな齟齬であった。
 今まで経験した基本的な内容のものではなく、明らかに知っている者の質問。

 それから見方を変えれば、明らかにおかしい。
 ただ書類を読むのではなく、最初に契約書を、次に議事録をと――必要な書類を実に的確に読んでいた。
 そして、つい先日だ。

 アース社の営業に連絡をとったかと思うと、相談があると別室で会話をした。
 正直、聞かなければ良かった。
 その時の会話は思い出すだけで胃が痛くなる。
 薬を飲もうかと思い、既にこの部屋に入る前に飲んだばかりだった事に気付く。

 手持無沙汰に持ったハンカチで汗を拭った。
 面倒だと思っていたが、まさか一週間でこんな面倒となるとは。
 表向きは装甲車改修に向けた計画案の報告。
 だが、その実態は。
 再び汗を拭ったところで、秘書である女性中尉が静かに扉を開けた。

「どうぞ、ウォーカー事務官、マクワイルド中尉」
 それは地獄の門の入口のようにウォーカーは感じた。

 + + +

 シンクレア・セレブレッゼ少将。
 原作では中将として、ヴァンフリートに配属された。
 その実は後方勤務のスペシャリストであり、前線指揮能力は皆無。

 口元の髭を生やした生真面目そうな男であった。
 手にしていた書類から目を離すと、こちらの姿を見て机上の前におかれた接客用の椅子をすすめた。隣に立つウォーカーの様子を見て、簡単な報告ではないと気付いたのだろう。
 自らも席を立つと、接客用の椅子に座る。

「何か問題があったのかね」
「いえ。問題といいますか……」
「装甲車の改修にあたっての方針を決めたいと」
 ウォーカーの言葉を引き継げば、セレブレッゼは小さく眉をあげた。
 黙ってさしだした書類は、契約書と議事録のコピーだ。

 必要な要点だけを抜きだした数枚の書類と、報告書にしばらく目を通して、セレブレッゼは口髭を撫でた。
「これは臭いな」
 後方勤務のスペシャリストは、たったそれだけで眉をひそめて答えた。
 書類を最初から見直して、再び臭いと呟く。

「ええ。実態は見えていませんが」
「どこかに置き忘れた生ごみのようだな」
 嫌悪するような表情を浮かべれば、正面に座るアレスは頷いた。
 契約書を見れば、決して戦えない戦いではない。

 だが、戦う事が最初からないような前
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