二十八話 女帝
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しかない。
というより、なにか考える余裕がないので、ここは一時撤退するべきだと、俺の頭が告げている。
そう、学力6の頭がだ。
それに従わない術はない。
「どうあってもシラを切り通すつもりか?」
どうしよ。
てかなんで俺ってバレたんだ?
確かにあの時俺は真田先輩と目が合った。
しかし、顔を完全に見られた覚えはない。
「いえ、ですからなんのことか自分はわからないのですが」
あの真田先輩、頭脳派とは言えない彼が一体全体どうやって俺だとわかったのか。
もしくはどうやって桐条先輩が俺だと特定できる情報を見つけたのか。
わからない。
だいたいあの時、真田先輩は完全に寮の真正面にいたが、決して寮の傍にいたわけではない。
それなりにキョリはあった。
・・・あぁ、そういうことか。
俺の寮の部屋番号か。
それくらいなら外見から分からないこともない。
今ばかりは、寮の真正面に俺の部屋の窓があったことを恨まずにはいられない。
「・・・私たちは『シャドウ』と呼ばれる化物と戦っている。そのシャドウは影時間に人間を引きずりこみその人間の精神を食う。そして、その食われた人間は廃人、最近よく聞く『無気力症候群』となる。まぁ、私達は『影人間』と呼んでいるがな」
先輩は俺の目を見ながら言う。
「そのシャドウを倒せるのは、あの時間に存在できる者のみ。影人間を救えるのも、あの時間に存在できる者のみ」
先輩は俺の反応を見るように、こちらを見ながら黙る。
「・・・先輩」
「どうした?」
「俺、先輩はもっと普通の人だと思っていました」
俺は心底失望したような顔で桐条先輩を見る。
「先輩が・・・皆の憧れの的の先輩が、まさか『オカルトマニア』だったなんて!」
「ちょ、ちょっと待ちたまえ!君は今の話を聞いていて何も思わないのか!?」
「俺は・・・あくまで一般人です。変な趣味はありません」
「そ、そういう意味ではない!彼らを救えるのは我々だけだと言っているのだ!」
桐条先輩は、キャラに似合わないほど慌てた様子で立ち上がりながら言う。
「先輩・・・正義のヒーローごっこが許されるのは小学生までですよ?しかも女の子がそんなことをするなんて・・・なんてはしたない」
「な!?き、君!明彦が言っていたんだ!影時間に適応している人間なんだろ!?」
「先輩、もう止めましょうよ。今日のことは誰にも言いませんから」
「違うと言っているだろう!だからだな!明彦という証人がいるんだ!言い逃れはできないぞ!」
「真田先輩に責任を押し付けるなんて・・・」
「だから!君という人間は!」
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