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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 一刀 張飛 孔明 曹操
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く、小麦は粉にするとダニがつくため保存しにくい。
 美味しい上に様々な用途があるから、本当なら大量に保存しておきたいところなんだが……

「そうだ……定軍山の道の開拓と新しい開墾地のほうはどうなった?」
「それが……道の方は岩をけずり、石道として広げる予定ではありますが……」
「やはり難航している、か」
「はい。どうしても十年単位の時間がかかります」

 ……十年、か。
 本来ならそれぐらいの時間がいるだろう。
 そして、それが許されるだけの時間的余裕もある。
 だが……

「……なら、従来通りの桟道を優先させてくれ。ただし、その幅は短めにして、その上に硬い樫の板を並べて、安全面を高めてくれ」
「わかりました。その程度の変更ならば、通常の桟道とほぼ変わらない時間で出来ると思います」
「頼む。それと、制作には銅釘でなく鉄釘、それも純鉄釘を使うように。コスト……資金は多少かかっても構わない」
「鉄釘、ですか? 加工に手間が掛かりそうですが……」
「銅より強く出来る。以前、研究用にと渡した和釘があるだろう。この機会にあれを広めよう」
「和釘……ですか。確かにあれは使えますけど、工匠たちが納得しますかね……」

 朱里の不安は分かる。
 新しい文化は浸透するまで時間がかかるものだ。
 恐らく、稲の苗床に対する老人たちの拒否反応を思い起こしているんだろう。

「漢中の鍛冶には、鉄板注文の際に研究用にと渡してある」
「えっ!? いつの間に……」
「馬正が、な……」
「あっ……」

 そう……金の錬成のために大量発注した鉄板の買い付け。
 その際に馬正は、以前から時間を見つけては俺が作成していた「和釘」や「和鋼」などを鍛冶の連中に配り、協力を要請してくれていた。
 最初は相当難色を示されていたようだが……馬正は根気強く説得して回っていた。
 おかげで最後の鉄板の買い付けあたりでは、それなりに試行錯誤が始まったらしいとの話もあったのだ。

 本当に……馬正は、俺にはもったいないほどの臣下だった。

「見本は俺が作れるが、大量発注はどうしても鍛冶たちの協力が必要だ。鉄板についても、残る『石』は一つとはいえ……今後も手に入らないと決まったわけではないしな。鍛冶連中との調整役は、新しく誰かに担当してもらわないとな……」
「……ですが、用途が用途です。秘密を漏らせない以上、兵や文官レベルでは……」
「まあな。だから……一刀はどうかと思っている」
「一刀様に……ですか?」

 秘密を守れて、人当たりもよく、繋ぎが取れる人材。
 現状の梁州、そしてこの先のこと考えれば……一刀以外にその役目を担えるものはいない。

「今のあいつに、俺たちの仕事は無理だ。出来ないとは言わないが……まだ時間がかかるだろう
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