拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 一刀 張飛 孔明 曹操
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収穫量が減少していたわね。おまけに出来たものの半数近くが黒ずんでいたり、中が腐っていたり……」
「はい。一度目、二度目の収穫ではほとんど問題はなかったのですが……他の作物同様、土が死んだとしか……」
「……梁州では、今年も豊作だと聞いているけど?」
「そ、それは……」
桂花の報告の声が次第に萎んでいく。
別に怒っていないわ……ええ、怒っていないわよ。
つい先日、大々的にじゃがいもを?州全土に広める決定をした矢先だとしてもね!
「……つまり、なんらかの原因があるのね。私達の知らない、あの食物が常に豊作である要因が……」
「そう……としか考えられません。ですが、その対策はまったくわからない状況で……」
……やはり、一筋縄ではいかないものだったわけね。
一度目二度目と大量に収穫できたのが、罠ってこと。
……くっ!
「わかったわ。すぐに布告したじゃがいもの普及を中止させなさい。今までどおり、粟やキビ、そして麦の生産をさせるように」
「で、ですがすでに種芋は広範囲に配布させてしまいました。すでに発芽している場所もあるはずです。その収穫を終えてからでも……」
「その結果、その土地に他のものが育たなくなる可能性があるわ。そして土にどんな悪影響が出るのかもわからない。他の作物が?州全土で育たなくなってからでは遅いのよ!」
「で、ですが、それでは?州が大飢饉になります! ただでさえ連合軍の影響で糧食の買い占めにより、食料が減っているのです。今、じゃがいもの育成を止めてしまえば、餓死する民が出る危険が……」
「くっ……」
民が飢える……?
私の民が飢えるですって!?
冗談じゃないわ!
「……糧食を放出して、今年度分の補填をさせなさい。民には絶対に飢えさせないように、全部放出して構わないわ」
「華琳様!」
「足りない分は洛陽や、その周辺の街や邑から買い上げなさい。私はこれより陛下に奏上して、一時的に資金を借り入れられないか打診してくるわ」
「か、華琳、さま……」
「わかったらさっさと動きなさい! 絶対に民を飢えさせる訳にはいかないのよ!」
「ぎょ、御意!」
慌てて居室を飛び出していく桂花。
私は、座っていた椅子にもたれて頭を抑えた。
「くっ……なんて失態を……愚かすぎるわ、曹孟徳……」
気がつけば、強く噛んだ唇から血が滴り落ちていた。
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