第三部龍州戦役
第四十八話 黒子は動き、舞台は廻る
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達が拡散して行動する鉄虎兵達によって現状の把握が困難な状況下におかれた所為である。練達の〈帝国〉陸軍将校達も夜間にありえない程に分散した猛獣共の攻撃に対しては、初動の迅速な対応の機会を逸した時点で部下たちの統制を行う事は不可能となり、<帝国>陸軍の精兵揃いであった猟兵大隊はまたたくまに壊乱状態へと陥ったのである
悲惨な二つの戦場から数百間ほど離れた木立の中、本部を護衛する聯隊鋭兵中隊・騎兵中隊(下馬している今は尖兵中隊として扱われている)の護衛を受け、幕僚達と共に佇む男、集成第三軍先遣支隊長・馬堂豊久陸軍中佐はその正しく地獄の如き光景に満足そうに頷いた。
同日 午前第二刻半 南方戦域〈帝国〉軍防衛線より北方約十五里
集成第三軍先遣支隊 支隊本部 支隊長 馬堂豊久中佐
「第十一大隊長殿が指揮をとっている旅団本部攻撃部隊は既に司令部を制圧し、主力は既に敵部隊の包囲殲滅に移っています」
香川情報幕僚の言葉に馬堂支隊長は頷き、尋ねる
「司令部の状況は?情報の収集は可能か?」
旅団司令部で防衛線の配置や明日の軍事計画の情報を奪えれば第三軍の早期突破の可能性をより高めることが出来る、と豊久は考えていた。無論、あの姫君が何も対策を撃たない筈もないが、夜間の行動にはあれこれと制約が着く事は当然の事であるし、それを覆る事は不可能だろうとも読んでいた。
「第二大隊・第十一大隊本部はすでに司令部天幕にて合流し、一部の幕僚が調査にとりかかっています。しばらくすれば詳報が入るでしょう」
安堵の色を浮かべ、馬堂中佐はさらに尋ねる
「大変結構!棚沢少佐の鉄虎大隊の方はどうだ?」
「護衛の猟兵大隊も包囲下で無力化され、現在掃討中です。こちらも損耗は軽微です」
情報幕僚の報告が終了したのを見て取り、大辺首席幕僚が各部隊の報告を統合した結論を語った。
「白兵戦に持ち込めば剣牙虎の戦闘力は低めに見積もっても銃兵20名に相当するという俗説に従うのならば然るべき結果と言えるでしょう。
第十一大隊は堅実そのものと言える打ち筋を巧みに打ち、堅実に勝利を得ました。
棚沢少佐の鉄虎大隊は第十一大隊の倍近い定数155匹が配属されている強みを活用しました」
「ほう?」
「佐脇少佐と異なり、分散して白兵戦に移行した事は、双方の運用思想の違いというよりも小隊単位での剣牙虎の頭数の問題でしょう。諸兵科連合の捜索剣虎兵大隊と剣虎兵と銃兵のみで編成された鉄虎兵大隊では運用思想からして違います。その運用思想に則るのならば、第一大隊と鉄虎大隊の連携は理想的です、こちらの部隊の分散による戦線拡散を抑え、包囲を意識させて戦意を挫くというの戦術は非常に効果的だったようです、囲関少佐もよく考えたものですね」
「うん、銃兵の夜間戦闘訓練に活かせそうだな。訓練幕
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