暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第53話 木凪ベースボールフェスタ
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ぁなぁ、でも商学館がまだ無失点で8やろ?俺ら一応3点とったけん凄ない?」
「バカか、俺らが点とったのは三田相手で、浦田にはランナー1人も出せなかっただろうが」

宮園がため息をつきながら安曇野に突っ込むと、安曇野はむぐぐ……と言葉に詰まった。

「まぁ、俺ら甲子園結局出れてないんやけ、海洋や南学よりも弱かったっち言う事やろ。そらもうしゃーないわ。それ逆転しよう思うたら、もっともっと頑張らないけんなぁ」

渡辺の目が闘志に燃えた。

「明日も勝つで。関東のチームやろうと、甲子園逃したチームにゃ負けられんやろ。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



灰色の生地。胸に紺色の文字で「KUCHIBA」。帽子は型付けされて角ばっている。甲子園でもお馴染みのユニフォームである。

木凪ベースボールフェスタの三龍の最後の相手は関東州口羽地区の名門、口羽高校だった。
関東大会で不覚をとり、この春選抜の出場はならなかったが、春夏合わせて34回の出場、5回の全国制覇を誇る。プロ野球選手も多数輩出していて、木凪なんかに来るのが勿体無いほどのチームである。

「いやぁ、今年はねぇ、そんなに強くありませんから」

試合前、挨拶に訪れた浅海と乙黒に、口羽高校の監督・笠部元智は苦笑いを見せた。

「今日は若いチーム相手に、こちらも勉強させてもらいます」

ペコリと頭を下げた笠部監督の表情は穏やかであったが、しかしその眼光はやたらと鋭かった。

(やはり、雰囲気あるなこの人は。海洋の高地監督より、静かな分怖いかも)

浅海の頬にも、冷や汗が自然とつたった。


口羽スタメン

4河口 右左
9根元 右右
8東 右左
3阪濱 右右
6笠部 右左
5熊田 右右
7長谷川 右右
2高井 右右
1伊東 右左

三龍スタメン

4渡辺 右右
6枡田 右左
8鷹合 右左
5飾磨 右右
9剣持 右右
7太田 右右
2宮園 右右
1美濃部 右左
3安曇野 左左



ーーーーーーーーーーーーーーー


カコッ!
「サード!」

流し打ったゴロが飛ぶ。サードの飾磨が堅実に捌いてワンアウト。先頭打者を抑え、捕手のポジションで宮園がふうと息をついた。

(あの口羽が相手だからなぁ。関東の名門中の名門。メンバーは中学時代はシニアの有力選手ばっかり。だいたい全国大会経験したような奴ばかりだ。)

カーン!

打球がセンター前に弾む。
甘く入ったストレートを逃さずに打ち返された。

(きぃ〜〜〜)

あんまりあっさりと打ち返された事に、美濃部は不機嫌そうに頬を膨らませた。

<3番センター東君>

口羽はクリーンアップが
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