暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第53話 木凪ベースボールフェスタ
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白い砂浜を走る走る。息が切れ、汗が滴り落ちる。

「誰や、今日2勝したらそのままアガれるとか言うたやつ!」
「今日も普通にトレーニングあるやんけ、ボケ!」

三龍ナインは誰に向けるでもない怨嗟の言葉を吐きながらトレーニングに励む。
試合がある日でも、試合が終わるや空いたグランドで練習し、砂浜でのトレーニングも継続。
誰からともなく、試合に勝てば試合後はオフだという噂が立っていたが、その期待はものの見事に裏切られた。

「よう走らすのー」

乙黒がビーチのベンチに腰掛け、隣の浅海に言った。

「せっかく追い込めるチャンスなんだから、手ぬるくする理由の方が無いよ。こいつら、相当体力もついてるんだし。」
「明日は口羽とやけど、追い込んだ状態で勝負なるか?」
「そこは心配してない。しっかり力はついてるよ、こいつらには。」

浅海は目を細めて、砂浜を走る選手達の背中を見つめた。


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<次は2回戦、水面商学館対山吹実業との対戦です。1回戦を12奪三振の完封で勝ち上がった水面商学館・浦田に、初戦は8得点をマークした山吹実業打線が挑みます>

三龍が木凪ベースボールフェスタに出場してる間に、春の甲子園は大会中盤まで進んでいた。
食堂のテレビの画面に、商学館・浦田が大写しになる。三龍ナインはそれを食い入るように見つめる。あと少しで、自分達も他の球児にこうやって見られる側だった。その悔しさも噛みしめる。

<浦田は145キロを計測し、今日もエンジン全開。二回から三回にかけて4者連続の三振を奪うなど、山吹実業打線を寄せ付けません>

テレビの画面がパッと切り替わった。
甲子園のバッターボックスに、淡白な顔をした少年が立っている。宮園の眉がピクリと動いた。
よく知っている顔。梶井元次郎だ。

<打線は4回、今日は3番に入った梶井!>

梶井がバットを一閃すると、打球はカメラが追いきれないほどの弾丸ライナーとなって甲子園の左中間スタンドに弾んだ。

「すげぇ」

宮園は思わず声が出た。去年の春、福原が甲子園で活躍しているのを見た時はどうにも複雑だったが、梶井に対してはそんな思いは無かった。
格が違う。同じ知り合いでも、梶井の打撃は嫉妬する気にもなれないレベルだった。

<その後も2点を追加し、今日の浦田にはこれで十分。4-0で水面商学館が勝ち、24年ぶりのベスト8に名乗りをあげました。>
「商学館がベスト8かぁ〜」

ニュースが終わると、飾磨が声をあげた。
どうにもつまらなさそうである。

「海洋も、南海ですらも一つは勝ったんよなぁ。あ〜面白くねぇっちゃ」
「な
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