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魔法少女まどか☆マギカ 〜If it were not for QB〜
碌話 甘言
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?」

 なんだろう、視界がぼやける。頭が重い、どろりとした蜜が頭の中を埋め尽くすような感触にさやかは襲われる。

 「何か、ちょっと眠くなって……」
 「そっか……おやすみ、さやか」
 「えっ……」

 落ちて行く。それはもうどうにもならない事だった。


 「え……嘘……何で、何でよぉ!!!!!!??」

 さやかは上半身を椅子に固定され、あられもない姿のまま下半身を縛られていた。

 「にっ、兄さんっ……何で、どうしてこんな事するの!?」
 「知らなかったか? ……ずっとこうするつもりだったよ。こうする為にずっと準備して来た。お前言っただろ、今日は誰もいないって。だからお前に持って来たジュースに色々薬を混ぜておいた」

 全く気が付かなかった。何気なく開けたペットボトルの蓋が軽かったのは既に一度開いていたからだったのだ。

 彼の冷たい手がさやかの温かい頬に触れる。その温度差にさやかは身震いした。こんな彼をさやかは知らない。

 「大丈夫、力抜いて……ま、力なんて入らないだろうけど。さっき飲んだジュースに睡眠薬と弛緩剤、感覚を鋭敏にする薬を入れといたから」

 唇が重なる。それすらこれから始まる、死ぬよりも辛い惨劇の序章である事は明白であった。さやかは何も出来ずに涙を流す。それを彼は舌で掬う。

 「嫌ぁ……いやぁあぁああああああぁあああああっ!!!!!!!!!」


 「私……犯されちゃった……もう、やだ……」
 「さやかちゃん……」

 途切れ途切れに話してくれた内容から、まどかはさやかがどんな目に遭ったか容易に想像が出来た。夜の静寂が、特に寒くも無いのに二人の体温を奪う。

 「明日になったら仁美が恭介に告白しちゃう……仁美に恭介取られちゃうよ……」
 「さやかちゃん……」

 「わたし、何にも出来ない……こんな身体で抱きしめてなんて言えない、愛してなんて言えない、キスしてなんて言えないよぉ……っ!!!!!!」

 少女の悲痛な叫びは闇夜の一滴となってこぼれる。まどかは心に暗い影が落ちるのを必死で堪えた。それは魔法少女となったさやかが口にしていた言葉と全く同じ。

 魔法少女で無い、普通の人間であるさやかなら恭介に告白できるはずだったのに、それすらもこの世界は許さないと言うのか。

 「まどか……まどかぁあぁあああああああ!!!!!!!!!」

 まどかは何も出来なかった。一つ前の世界の、ほむらに庇護され何も出来ずにいた無力な自分と同じで。所詮自分は弱い人間なのだと、誰かを救う事など出来ないのだと言う事を痛感した。

 思えば、最初の世界。ほむらを助けられたのは自分が魔法少女だったから。彼女が最初の自分に恩を感じて魔法少女になり、途方も無い回数同じ時間を
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