トワノクウ
第二十六夜 芹摘み、露分け衣 (一)
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
むようにしてくうに差し出す。どうもです、とくうは湯呑みを受け取った。
「体を失い消えゆくのみだった我々に梵は体を与えた。妖が天座を尊ぶ理由がそれである。だが白沢は我々に新しい体を一から創った。力を失ってただのしゃべる鳥となっていた我は再び翼を得た。露草とてそうだ。あれは我より不安定で消えかけていた妖であったのだが、白沢が創った空の器によって命を繋いだ」
「――鴇先生が皆さんに慕われる訳が理解できました」
鴇時の行為は真実の救いだったのだ。それは例えば、全知全能の神様が恵んでやる奇跡の切れ端などではなく、鴇時自身が汗と泥と血に塗れてなお絞り出した救済のはずだ。
それに感じ入らないほど、露草も空五倍子も心ない妖ではない。
「貴重なお話をありがとうございました」
くうは心から微笑んだ。大好きな先生である鴇時の一面を、新しく知ることができたから。
Continue…
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ