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トワノクウ
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第二十六夜 芹摘み、露分け衣 (一)
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むようにしてくうに差し出す。どうもです、とくうは湯呑みを受け取った。

(たい)を失い消えゆくのみだった我々に梵は(たい)を与えた。妖が天座を尊ぶ理由がそれである。だが白沢は我々に新しい(たい)を一から創った。力を失ってただのしゃべる鳥となっていた我は再び翼を得た。露草とてそうだ。あれは我より不安定で消えかけていた妖であったのだが、白沢が創った空の器によって命を繋いだ」
「――鴇先生が皆さんに慕われる訳が理解できました」

 鴇時の行為は真実の救いだったのだ。それは例えば、全知全能の神様が恵んでやる奇跡の切れ端などではなく、鴇時自身が汗と泥と血に塗れてなお絞り出した救済のはずだ。
 それに感じ入らないほど、露草も空五倍子も心ない妖ではない。

「貴重なお話をありがとうございました」

 くうは心から微笑んだ。大好きな先生である鴇時の一面を、新しく知ることができたから。



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