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インフィニット・ストラトスの世界にうまれて
心を開いて、妹さん その三 最終回
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いなかったことを鑑みればそれなりのことがあっただろうことは想像ができる。
何があったのかと理由を訊きたくはあるが、今はそうなった原因を簪さんに訊いている暇はない。
だってここには、一夏をこんな姿にしたのだろうヤツの姿があったからだ。
視線の先にいる――ヤツの、ゴーレムVの姿を俺はじっと見据えていた。

俺が一夏のことを頼もうとうしろに振り返ると、簪さんは両手を口に当て、ぺたりと地べたに座りこんでいた。
そんな状態の簪さんに俺は声をかける。

「俺がアイツをピットから押し出す。その隙に人を呼んででもいいから急いで一夏を医務室へと運んでくれ」

原作では白式の操縦者の怪我まで治すチート性能のおかげでなんとかなっていたが、ぐったりとして息もしているのかも怪しいこんな一夏の姿を見ていると、本当に一夏は回復できるのかと疑いたくもなる。

「わ、わたしも一緒に……」

か細い声で言う簪さんに、

「簪さんをここに来るまで見ていたけど、なにか迷いがあるように感じた。学内対戦ならそれでもいいかもしれないけれど、迷いを持ったまま実戦に出れば死ぬかもしれないぞ」

と警告をした。
俺には新型のビット兵器がある。
一対五なら有利に戦闘を進められるだろう。
この狭いピット内で戦闘なんて無謀と言えるだろうが、一旦ピット外に出てしまえば思う存分ビット兵器を動かすことができるだろう。
俺は待機状態にあるISに心の中で呼びかける。

――行こう、ブルーティアーズ。

俺は学園を守るだなんて言えないし、できるとも思えない。
それに、ヒーローじみたことをする柄でもない。
でも、このIS学園で数ヶ月を過ごしてきて好きな人も、友人もできた。
その人のために俺は戦おう。
こんなことを言うのは似合わないと自分でも自覚しているが、俺は心に言い聞かせ奮い立たせる。

今は見えるはずもないコアの人格。
あの金髪ロリ少女の笑顔が見えた気がした。
しかも、『今このときからベインズさんの伝説が始まります。さあ、ハーレム王を目指しましょう』と言わんばかりの表情にも見えた。
何が伝説だ! それに、ハーレム王なんか目指すわけがないだろうと、あの金髪ロリ少女には言ってやりたい。

ピットの外からは、爆発音のようなものが聞こえ、建物が軋む音と小刻みな振動が身体を揺らす。
俺がISを展開すると、女性のフォルムを持ち毒々しい色で翅のようなものを二枚持つゴーレムVは、俺に手をかざすようにゆっくりと左腕を持ち上げた。
その左手のひら部分は大きく膨らんでいて、四つの発射口らしきものが見える。
アニメではあそこから超高密度圧縮熱線が出ていたんだっけ?
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