下級悪魔
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な叫び声を上げることしかできない。
「うるさいよ」
「ゴアッ!!??」
だが、それすらもこの少年は許さない。少年は男の胸部に右腕を勢いよく突き刺し、体内でグチャグチャと激しく腕を動かした。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ムグゥ!?!?」
「少し黙っててもらえる? 手元が狂うじゃないか」
少年は空いている左腕で男の口を押さえつけ、男の体内から腕を引き抜いた。
「よしっと、取れたよ――――あんたの心臓」
「あ゛………………」
そう。少年が男の体内から抜き取ったものは心臓だ。心臓を抜き取られた男は、悲痛な表情を浮かべたまま、静かに絶命した…………立ったままで。
「…………まぁ、足がないしね。なんもおかしいことはないね」
そうだ。ただシュールなだけだ。
少年は自分にそう言い聞かせると、手に持っている男の心臓をグチャリと握り潰した。
すると、握り潰した男の心臓の中から、赤色と黒色の二種類の光が現れた。
「…………へぇえ。神器はともかく、こっちはかなりのレアものだね」
少年はその二種類の光を手に取ると、いつの間にかできていた空間の穴に、ゴミを捨てるかのように投げ入れた。
「さてと、腕と足は……いいや、これも空間に入れてっと。そんでもって次は」
「…………………………」
少年は男を放置し、せっせっと公園内を掃除していく。実に意外である。
「あーダルかった。待ったかい?」
「…………………………」
「ん? あぁ、今度は本当に死んじゃったんだっけ? 悪いね」
少年はへらへらと笑いながらそう言うと、黒いズボンのポケットの中から、赤色の小さな結晶を取り出した。
「あんたの中の異物は取り除いた。これであんたが裏に来ることはないだろうさ……って聞いてないか」
誰に話しているんだか。
少年はそんな自分に苦笑しながら、男の口の中に結晶を放り込む。
すると、男の体が赤い光に包まれ――――――
「う……うぅ」
光が消えると、五体満足の生まれたての状態で、男が息を吹き返していた。
「じゃあね――――――――全裸の変態さん」
少年はそう言い残すと、空間に溶け込むかのようにその場から消えた。
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