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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十話  手荒い歓迎
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ンスローは鼻白んだが執務室へと俺を案内した。同行者はハルディーンとヴィオラだ。ヘンスローは面白く無いだろうな、俺みたいな若造にペコペコするのは。

ヘンスローには油断は出来ない。貴族連合軍がフェザーンを占拠した時、ヘンスローは連中に殺されてもおかしくは無かった。だがヘンスローは殺される事無く生きている。彼を守ったのはボルテックだろう、他には考えられない。つまりルビンスキー拉致後もヘンスローはフェザーン自治領主府と繋がりが有ったという事だ。そして今も有るのかもしれない。

失敗だったかな、フェザーンを占領した時、ヘンスローを拘束するという手も有った。しかし後任者が居なかった。それにあの時点では主戦派の暴発と鎮圧が最優先事項だった。自然とヘンスローへの対応は後回しになってしまった……。ヘンスローの執務室で話を始めた。こいつ、この部屋で仕事をした事が有るんだろうか、妙に小奇麗な部屋だ。

「ヘンスロー弁務官、これから政府の決定を伝えます。貴方の弁務官としての任務は九月一日の条約調印式に参列する事を以て終了します。後任の弁務官はアブドーラ・ハルディーン氏です」
「……」
ハルディーンが挨拶したがヘンスローは眼が飛び出そうな表情をしている。まあいきなり聞けばそうなるよな。

「調印終了後、貴方は私と一緒にハイネセンに帰還する事になります。九月一日までに身辺整理とハルディーン氏との引継ぎを終了させて下さい」
「九月一日……、それは、いくらなんでも。もう少し時間を……」
眼が泳いでいる。愛人の事でも考えてるのかな。最後に思いっきり楽しみたいとか? 往生際が悪いよ、止めを刺すか。

「残念ですがそれは認められません。ヘンスロー弁務官、同盟政府は貴方がフェザーンの自治領主府と親しくなり過ぎたと認識しています。これ以上貴方を高等弁務官の地位に置くのは同盟の国益を損ずる事になると考えているのです。私が何を言っているか、お分かりですね?」
「わ、私は、国益を、損ずるなど」
また汗を拭いだした。

「否定しても無駄ですよ、同盟政府は全てを知っています。アドリアン・ルビンスキーが政府の保護下に有る事を忘れないでもらいましょう」
今度はガタガタ震えだした。忙しい奴だな、しかしパニックになられても厄介だ、馬鹿げた事を仕出かしかねない。

「安心してください、ヘンスロー弁務官。ハイネセンに戻っても貴方が処罰を受ける事は有りません」
露骨にホッとしている。
「但し、今後は貴方の行動は二十四時間、同盟政府の監視下に置かれます。貴方を利用しようとする勢力が接触を図るかもしれません。それを防ぐためです、理解してください」
ヘンスローの顔が引き攣った。散々楽しんだんだ、もう十分だろう。

「九月一日までの貴方の行動はヴィオラ准将の監視下に置かれます。
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