七十三 落花流水
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現役時代と何等変わらぬ強き眼光が大蛇丸を射抜く。
明らかに一変した綱手の顔を見て、大蛇丸は軽く肩を竦めた。
「仕方ないわね…。こうなったら力尽くでお願いするしかないわね」
「…出来ると思っとるのか?」
黙していた自来也がずいっと身を乗り出した。そしておもむろに取り引き内容を訂正する。
「それにもう、三人ではないのぉ」
「三忍?ククク…薄ら寒い」
自来也の一言を聞き間違えて大蛇丸が口許に嘲笑を湛える。
自来也としては、アマルが助かった事により綱手の亡き最愛の人は依然として二人のままだという事実を告げたのだが、大蛇丸はそのまま気づかずに戦闘態勢を取った。
何故なら、もうこの二人が此処に来た理由が解っていたから。
綱手がこの場に現れたのは交渉に応じる為ではなく、自来也と共に今此処で己を殺す事が目的だと。
前夜、自来也の許に訪れたのは綱手だったのだ。彼女は、大蛇丸との取り引きの件を自来也に洗いざらい自白したのである。
驚愕したものの話してくれた事に感謝した自来也は、綱手と手を組み、先ほどの一計を案じたのだ。
長年の因縁に決着をつける為に。
「大蛇丸…お前は悪に染まり過ぎた」
「三忍と呼ばれるのも今日限りだよ」
対峙するかつての同胞。
死を宣告する二人を前に、大蛇丸はかさついた唇をぺろりと舐めた。切れ長の双眸に微かに浮かぶのは焦りの色。
だがその口許に湛えられた笑みはどこか含みのあるものだった。
綱手・自来也・大蛇丸。
今此処に、『伝説の三忍』同士の闘いの幕が切って落とされた。
「…何があった?」
水面に映った二つの人影の間を掠める黒い影。漆黒の翼をはためかせた鴉は湖畔の大木に止まると、軽く小首を傾げた。賢そうな顔で、湖の上に佇む人間達を眺める。
単刀直入に問い掛けたナルトを、イタチが無表情で見返す。その感情を一切窺わせない顔の内、眼差しだけは強い輝きがあった。二人の足下で波が砕け、真珠色の泡沫が弾ける。
「俺が愚かだった。ただそれだけだ」
口許に自嘲を湛える。更に何か言いかけようとしたイタチをナルトは制した。
青い双眸が畔に向かう。水際に生えた大木を鋭く見据え、ナルトは淡々とした声を投げた。
「監視するな、と言われなかったか」
何の脈絡もない言葉にイタチが眉を顰める。怪訝な顔をする彼の前で、ナルトはじっと水際の木を睨んだ。
ややあってナルトの視線に折れたのか、大木に潜んでいたゼツがその身を外気に曝す。木枝に止まっていた鴉が驚いて飛翔した。
「勝手な振舞いは止めろ、と言われなかったか」
「で、でも…」
「俺の行動に口を出すな、と言
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