外伝 真田
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止まることなく2体目に向かう。
一歩踏み出してから右で軽くジャブを放った後、左から来たもう一体を避けるためにバックステップを踏む。
そして、自分に対する攻撃が空振りに終わった、隙だらけの三匹目に2発パンチを打ち込む。
そいつが消えた後、敵が手を振り上げてるのを見ながら真正面から突っ込む。
振り下ろされる手が自分に当たる前に、右で殴り飛ばす。
「ふぅ」
一体づつだとあまりにも手ごたえがないため、2体以上の時はすこしテンションがあがる。
しかし、それでもこちらはノーダメージ。
正直おもしろくない。
「まぁ、こんなものか」
とりあえず合計5体ほど倒したことだし、もう少し走ってから帰るか。
などと考えつつ、俺は走り始める。
偶然だったのだろう。
ふと目に付いた寮があった。
目に付いたというよりは、道路に出た時にたまたま正面にあった、ただそれだけのことなのだが。
ここらへんには、影時間の中では始めてきたなと思う。
普段は駅の方を重点的に見ている。
初めての場所だったためか、少し辺りを見渡す。
その時、視界の端で揺れる物を見た。
バッとそちらに顔を向ける。
(シャドウか?でも、寮の中だろ・・・)
寮の中まで攻め入るのは、後処理が面倒だなと思いながら、その揺れたカーテンのある部屋の場所を外から確認する。
そんな時だった。
窓の隅から除く人がいた。
(人!?)
驚愕に目を見開く。
俺と目線が合う。
相手の口が少し動くが、何を言っているのかはわからない。
しかしそんなことはどうでもいい。
この時間にいて、生きているということは適正のある人物ということだ。
今までどうやって逃げてきたかは知らないが、適正のある人間がいる。
つまり仲間が増える。
結果、タルタロスにいける。
最近、タルタロスのことばかり考えていたせいか、『タルタロスに行ける』ということしか俺は考えられなかった。
相手がその誘いを断ることも、美鶴が反対するなんてことすら考えなかった。
「これは美鶴に報告だな!」
俺はしばし呆然とした後、その寮と部屋を外から再度確認して、寮まで走って帰った。
(これで俺はもっと強くなれる!)
そんなことしか俺の頭にはなかった。
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