第127話 宴 後編
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元に一度足をお運びにならてはいかがでしょうか? おお、そうだ。桂花の一族は潁川郡に住んでいました。正宗様、南陽郡に行くついでに帰りは荀家の方々を伴って帰郷なさってください。桂花も一緒に付いていってくれるか?」
冥琳は正宗に頼み事を言うと、桂花の方を見た。
「いいえ、それはなりません。正宗様に一族の護衛をしていただくなど恐れ多いことです」
桂花は冥琳にあたふたとしながら断ろうとした。
「心配するな。正宗様は美羽殿の元を訪ねるだけだ。その通り道に調度良く潁川郡があるのだ。旅の序でなのだから遠慮することはない。うん、一石二鳥だ。ああ、護衛の兵はしっかりつけるから何も心配することはないぞ」
「そのようなことを心配しているのではございません。正宗様に護衛していただいては一族の者達が恐縮いたします」
桂花はなおも断ろうとした。彼女の言い分最もだろう。桂花の主君の夫であり、車騎将軍の地位にある者が桂花と一緒にいきなり一族の者達の元を訪ねたら何事かと思うはず。最悪、妙な憶測を彼らに持たれかねない。
「私が冀州に戻る時に同行するだけではないか。桂花、お前が気にしていることは何となくわかるが前もって知らせておけば問題ないと思うぞ。お前が一族を呼び寄せる時も一度彼らを迎えに潁川郡に向うつもりであったのだろう。董卓軍の動向もある、私と一緒に潁川に向ったほうがいい」
正宗は桂花の懸念を察したのか冥琳をフォローした。董卓軍が麗羽を確保するために二千の追手を放ってきたことは報告を受け知っていた。そのため、洛陽にほど近い潁川に桂花が少人数で向うことは避けたいと考えたのだろう。
「私が董卓であればまず司隷校尉の地位につく」
正宗の言葉に桂花は真剣な表情になった。
「司隷校尉は慣例的に若い者がなる。都とその周辺の治安維持を行なうため、朝廷の高官や大豪族を取り締まることもしばしばある。そのため官職につく者は保身的なことをつい考えてしまう歳を経た者より血気盛んな有能な若者が調度よい。辺境で腕を鳴らした董卓であれば武威に任せて要求すれば容易に手に入る官職だ。董卓は都を支配するため必ず司隷校尉をつくだろう。他の官職と兼任する可能性も捨てきれないが。今のところ董卓は私と事を構えるつもりはないだろうが、秘密裏にお前を拉致する位はやりかねない。お前が麗羽の側近であることはもう既にばれているであろうからな」
桂花は正宗が何を言わんとしているか理解した表情をした。正宗は「お前が捕まれば麗羽の気質が災いして彼女に被害が及ぶ」と言っているのだ。
「桂花。お前が潁川に行く時は私が同行するかは別にして一軍を護衛につけるつもりでいた。お前は麗羽にとって『大切な家臣』なのだからな」
正宗は桂花に対して「大切な家臣」の部分を強調して
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