第127話 宴 後編
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一つお願いしたいことがございます」
「願いか? 内容によるが、この私に叶えられることであれば聞こう」
正宗は桂花の願いを聞くことにした。
「ありがとうございます」
桂花は一拍置き話しはじめた。
「私はご存知のことと思いますが潁川の出身でございます。潁川は洛陽に近く昨今の朝廷の状況からして今後戦火に見回れるものと思います。そこで荀家一族全てを冀州へ移住出来るようにお力添えをお願いできませんでしょうか?」
「何だそんなことか」
正宗は桂花の願いを聞き安堵した表情を返す。
「では?」
「相分かった。この私に万事任せるといい。願いを聞くかわりといってはなんだが、移住した荀家の一族から文官候補となる人物を斡旋してもらえないだろうか?」
正宗は少し申し訳なさそうな表情で桂花に頼んだ。
「我が一族の者達もただで助けていただいては心苦しくありましょう。喜んで人物を紹介させていただきます」
桂花は正宗の申し出を喜色満面の笑みで答えた。桂花に対する正宗からの申し出は彼女の一族の生活基盤を確立させる助けになるため渡りに船だったのだろう。
「仕事の話はこのくらいにするか。桂花、後日に都の状況を聞きたいと思っている。その時はよろしく頼む」
「畏まりました」
「正宗様、私にも荀文若殿をご紹介願えませんか?」
正宗と桂花が会話を終わらせようとすると冥琳が話をかけてきた。
「冥琳。桂花、この者は私の妻の周公瑾という。彼女は廬江の出身だ」
「お初にお目にかかります。私は荀文若。真名は『桂花』と申します。周公瑾様、私に敬称は不要にございます。周公瑾様は廬江のお生まれであるということは廬江周家のご出身であらせられますか?」
「いかにも。廬江周家の生まれだ。正宗様から紹介があったが私は周公瑾。真名は『冥琳』という。以後は真名で呼んでくれ。一族の者達の一部は冀州へ呼んで私の補佐をしてもらっている」
「一部にございますか?」
「ああ、そうだ。麗羽殿の従姉妹である袁公路殿が南陽郡大守を務めているので廬江周家が支援している。彼女が揚州を抑えてくれれば正宗様の助けとなるからな」
冥琳は知的な笑みを浮かべた。
「美羽には三年前にあったきりだったな。どうしているだろうな。寂しがっていないだろうか」
正宗は冥琳の話を聞きおもむろに呟いた。
「正宗様は心配性ですね。美羽殿も在野の才人を集めていると聞き及んでいますし、私の叔母が精強で名高い丹陽兵六千を彼女の元に送り込んでいます。何も問題はございません」
冥琳は正宗を困った人を見るような表情をしていた。
「そうは言うがな。南陽郡は洛陽と距離が近い。董卓陣営がちょっかい出さないとも限らないぞ」
「はあ。正宗様、それでは美羽殿の
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