アカデミー編
はじめまして
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もしも知られたら、傷付けてしまうかもしれない。
知っていても、知らないふりをしているだけかもしれないけれど、それならそれで、ここまで強がって隠していたカトナを、あえて見守ってくれていたサスケの気持ちを、傷付けるような真似をしたくない。
サスケの思いを、これ以上踏みにじりたくない。あの、愛情深くて優しい彼の心を、これ以上、自分のせいで傷つけたくない。
赤い光が瞬いた。カトナの思考にまたノイズが走る。
それにと、彼女の思考が違う方向に進む。無意識のうちに先ほどとはまた、違った思考回路に捻じ曲げられる。
サスケに伝わったのなら、ナルトにも伝わるかもしれない。
ナルトが、自分の所為で、悲しむ。
ぞくりと背筋に寒気が走って、次の瞬間、カトナは苦無を投げ捨ててネジの体を掴んだ。
「おっ、お願い!! 言わ、ないで」
突然のカトナの行動に身構えたネジは、理解不能の言動に表情を強張らせた。
めったに動揺しない彼が見せた焦りに眉を顰めるネジは、もう一度瞬きをした。
日向ネジにとってのカトナは、自分と同じ差別されるものであった。
日向の名を目当てに寄ってくる、蠅や蛆のような人間は多い。宗家のヒナタが居る今、そのごますりはもう、ネジから離れているが、ヒナタが入る前は酷いものであった。
ネジにとってそんな人間は嫌悪するべきもので。そして、自分と同じような境遇に置かれているカトナはむしろ、同情の相手であった。
カトナが九尾の人柱力だということは、まだ幼い子供ったいにも伝えられていた。
むしろ、カトナはそれが噂されるように歩いていたし、九尾の人柱だという風聞をされるように情報操作した部分もあるので、知られていないと逆に困るのであった。
知らない人間と言えば、そんな噂を耳に入れられないほどに守られている、火影の孫くらいしかいないのではないのだろうか。
閑話休題。
ネジも例外なく、カトナが人柱力であることを知っていた。
しかしネジが抱いたのは嫌悪感ではなく、むしろ好意的に属するようなものであった。
自分のように、自分が理由でないのに責め苛まれる彼に、ネジはわりと好意的だった。
最初の頃、授業で難しい問題ばかりあてられながらも、めげずに登校してきた姿は称賛に値すると思っていたし、他のクラスメイトに比べれば明らかに鍛えられた体術や忍術もまた、好意的にとらえるには十分な材料だった。
そんな彼がサボった時は、自分の見込み違いだと思って失望していたが、こんな理由があったとは。
そう過去を夏加味しながら、ネジはカトナの腕を振り払う。
細いと、そう思った。
うずまきカトナは少年だと知っているのに、まるで少女のような腕に、一瞬、ネジの動きが固まった。そこに畳み掛けるように、カトナは赤い
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