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無欠の刃
アカデミー編
はじめまして
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う自分に変化することはあったが、こんな風に性別を誤魔化すようになったのは、体が成熟し始めてからだ。
 あの日、カトナは己を捨てることを決めた。
 それが忍びになるために必要だったから、カトナは。
 カトナはあの日、己を彼に…。
 そこまで考えた時、赤い瞳が瞼の裏に浮かんだ。
 その瞬間、カトナの思考が、わずかにだがぶれる。
 カトナの指が無意識のうちに動き、教科書を広げる。ぼうっと熱に浮かされたような目をした彼女は、ぱらりという音にはっとした。
 慌てて腕の中に目を落とし、怪訝そうに眉を寄せる。
 いつこの頁を開いたっけと首を傾げ、まぁいいかとそこで思考を切り替える。
 とりあえずここから勉強しようとそう考えて。

 「うずまき、カトナ?」

 名前を呼ばれたことで、カトナに一瞬の困惑が生じた。
 自分しかここにはいないはずなのにと戸惑いながらも、確認もせず、変化の術を解いてしまった自分を叱咤する。
 いつもいないからって油断し、慢心していた。自分の場合はここが戦場になる可能性があるのだ。いつだって警戒を強めていないといけない。
 改めて気合を入れ、隠し持っていた苦無を構える。
 相手次第では、カトナが変化していたことを、弱みとして握るかもしれない。なら、今のうちに弱らせて、記憶を書き換えないと。チャクラコントロールをうまく利用すれば、記憶をいじることくらいできる。
 そこまで計算を働かせた時、カトナは視界の端に同じクラスの人間をとらえ、思考を停止させた。

 「日向ネジ…?」

 飛び級を使って同学年になったクラスの人間だ。
 優等生だと言われていて、成績はトップ。体術も秀でていて、勉学も出来るやつ。
 性格はまじめ。確か、一学年下――サスケと同学年の日向ヒナタに対して、コンプレックスを抱いていた。宗家や分家のしがらみというものらしい。よく分からない。
 そんな人間が居ることに、一瞬で泣きそうな顔になったカトナを、ネジはじろじろと上から下まで眺めた。観察されて居心地が悪そうにするカトナと、閉じられた扉を見比べたネジの顔が険しいものになる。

 「いつも、サボっていると思っていたが、こういう事だったか」

 その言葉に、カトナはほっと息をつく。
 先程の物音を聞かれていたのだろう。ただ一方で、女だということには気づいていないようだ。それなら、まだいい。
 けれど、知られた。
 カトナは唇をかんだ。
 知られたということ自体は、別に、どうでもいい。
 けれど、誰かに言われるのは駄目だ。
 火影に言って教師がリストラされるのはいい。そんな、ナルトに危害を加えるような人間に対して、情けなんて必要ない。
 だけど、サスケに知られるのはまずい。
 知られない様に、心配されない様に隠しているのに、
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