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トワノクウ
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第二十五夜 風花散る (一)
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 薫は胸元を鷲掴みにし、今にも泣き出しそうにくうを見ていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()|不安で息ができない。

「分かったよ」

 くうは翼を広げた。鳳の権能を自覚した彼女は武器の呼び出し方も知っていた。
 翼から羽毛を抜き、両手に挟むように叩く。羽毛は大鎌に変じた。くうは大鎌を握って薫の前に進み出た。

 ――一度彼女に殺された。悲しかった。辛かった。痛かった。怖かった。
 だが、息を吹き返した。

 生き返ったから許すという詭弁ではない。
 認めよう。くうは薫に依存している。
 異分子だと周りから線引きされた中学時代、薫だけが初めて友達になってくれた。その思い出が呪いをかけた。
 友情という呪いを。

「行くよ、薫ちゃん」

 薫はほっとした顔をして、凍った鉄に覆われた腕を構えた。



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